Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア
春なのに...30℃超え真夏日の異常気象、灼熱の夏になる予報で250万人が命の危機に?!
時間を追うごとに気温がグングン上昇する。北西から熱風が吹き付け、暑さが増していく。温度計を見ると、午前中なのにもう少しで30℃を超えそうだ...
9月のオーストラリアは、本来なら春に当たる季節。シドニーを含む大陸南東部では、北半球の3月に当たる時期となり、春うららかな陽気の日が多くなる・・・はず...
なのに、シドニーはいきなり30℃超えの真夏日に!
先週末の16日からいきなり気温が上昇しだし、17日にはシドニー西部で32℃、19日もほぼ変わらずで、20日の今日は35℃を記録した。
明日もまた今日みたいな天気らしいんだけど、明日、シドニーマラソンやるんだよね?30℃くらいある中でマラソンって、、ランナーさん大変そう...
-- Miki Hirano (@mikihirano) September 16, 2023
シドニーマラソンって、シドニー五輪の記念/遺産として五輪を開催した9月に行われてるわけだけど、2000年のあの時期、まだ結構寒くて夜はダウン着てた... https://t.co/zwApOmJ8fj
17日の日曜日には、毎年恒例のシドニー・マラソンが開催されたが、マラソン・コースとなっている湾沿いのエリアでも最高29.6℃まで上昇し、あまりの暑さに40人のランナーが手当てを受け、26人が病院へ搬送されたほどだ。(参照)
豪気象庁、エルニーニョ現象発生を正式発表
オーストラリア気象庁は、エルニーニョ現象が発生したことを正式に発表。暑く乾燥した気候パターンが夏の終わりまで続くとの予報を出し、住民に警戒を促した。
気温は30℃を超えるが、海沿いの比較的湿潤なエリアでも湿度は40%程度。内陸部へ行けばいくほど、この極端に暑く、極端に乾燥した状態は深刻になる。
とりわけ心配されるのが、2019-2020年に起こったような大規模森林火災の発生だ。今回は、今年後半に入るまでに多量の雨が降り、前回のように乾燥した期間が長く続いていた状況とは異なっているものの、急速に乾燥が進んでいることに注意が必要だという。
今年10月から12月にかけて全国で最高気温の中央値が80%以上を超える可能性があり、とくにニューサウスウェールズ州とビクトリア州は、その傾向が強く、エアコンなどの使用過多による電力不足が懸念されている。
250万人が命の危機に・・・?!
灼熱の夏になることが予想されているシドニー西部では、住民250万人が影響を受け、命を落とす危険性が高まると、専門家が警鐘を鳴らす。
内陸部のシドニー西部は、真夏に熱波が襲来した際、このままいくと東の沿岸部よりも最大10℃気温が高くなる可能性があるそうだ。それは、狭い庭と最近流行りのダークカラーの屋根も災いしているという。
その理由は、狭い庭では、日陰を作ってくれる大きな樹木を植えることができないこと。また、ダークカラーの屋根は太陽熱を吸収して熱くなり、表面温度は気温より40℃も高くなる可能性がある上、暑い日には屋根と天井の隙間(天井裏)が50℃近くにも達するという調査研究もある。
ダークカラーの屋根が増えれば増えるほど、近隣全体が暑くなり、ヒートアイランド現象が加速することになる、と研究者は警告する。
2021年、ニューサウスウェールズ州計画環境省は、新築住宅建設の際にダークカラーの屋根にすることを禁止する政令を出し、新しく建設する西部の住宅地では屋根を明るい色にするパイロット・プロジェクトが進行中だ。
この研究ではまた、家の30~40% が木陰になっていると、室内の温度を5~6 度下げる効果が期待できることも分かったそうだ。(参照)
狭い土地に、環境のことを考慮せずにたくさんの家を建て、緑のない人工物ジャングルと化した都市...
ニューサウスウェールズ州財務省の2021年報告書によると、暑さによって、建設、製造、鉱業、農業における労働者の生産性が低下し、州内では2061年までに年間270万労働日を失う可能性があると推計されているという。
このまま、地球全体の異常気象を加速させるのか?それとも、対策を施すことで多少でも歯止めをかけることができるだろうか?私たち1人1人の心がけも重要になってくるのかもしれない。〈了〉
著者プロフィール
- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
Twitter:@mikihirano
個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/
メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/