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平野美紀|オーストラリア

恐竜の足跡を追え!オーストラリア恐竜トレイルを往く

ウィントン郊外にある恐竜トレイル上最大の見どころ「オーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソー」(2023年4月筆者撮影)

オーストラリアと聞いて「恐竜」をイメージする人は少ないかもしれない。でも実は、クイーンズランド州の内陸部に、その名も「恐竜トレイル」と呼ばれる場所がある。日本的に言えば「恐竜街道」といったところだろうか。

その場所は、クイーンズランド州沿岸部の街「タウンズビル」から西へ380kmほど内陸に入った町「ヒューエンデン」と、そこからさらに115 kmほど内陸へ入った町「リッチモンド」、そして、リッチモンドから南へ200kmほど下がったところに位置する町「ウィントン」を結ぶアウトバックの三角地帯。

この『魔の三角地帯』ならぬ、『恐竜三角地帯』は、恐竜好きならワクワクせずにはいられない場所なのだ。

※「アウトバック」がどんなところなのか?については、『荒野に佇む隠れ家グランピングで 究極のアウトバック体験』に書いているので、よかったらご一読を。

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3つの町の位置関係がわかるオーストラリア恐竜トレイルのマップ。右はGoogle Map上にマーキングしたもの。左の公式マップはこちらで大きなものがご覧いただけます。

クイーンズランド州内陸部は「恐竜王国」

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クイーズランド州内陸部は、乾燥した荒野が広がるアウトバック。(Credit:Tourism and Events Queensland)

オーストラリアで恐竜の化石が発見されるのは、ほとんどが内陸部だが、クイーンズランド州内陸部は、その中でも群を抜いて多い。2021年にも、クイーンズランド州エロマンガ付近で2006年に見つかった化石が、世界最大級の恐竜の新種であることが特定されたばかりだ。

今回ご紹介する「恐竜トレイル」と呼ばれる三角地帯付近でも、恐竜が地球上を闊歩した時代の化石が次々と見つかっている。恐竜の骨をはじめ、恐竜たちが大群でこの地を歩き回っていたことがわかる足跡など、数多くの化石が見つかっていることから、「オーストラリアズ・ダイナソー・トレイル=オーストラリアの恐竜トレイル(恐竜が歩いた道)」と呼ばれるようになった。

恐竜トレイルの見どころ

クイーンズランド州のアウトバックに位置する3つの町を結ぶ恐竜トレイルの中心となるのは、以前ご紹介した「荒野に佇む隠れ家グランピング」のある「ウィントン」。ウィントン郊外には、オーストラリア最大級の恐竜の化石コレクションを誇る恐竜博物館「オーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソー」があり、「オーストラリアズ・ダイナソー・キャピタル」(直訳すると「オーストラリアの恐竜の首都」)と呼ばれるほどだ。

このトレイル上、最大の見どころでもある「オーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソー」については、長くなってしまいそうなので追って個別にご紹介したいと思っているが、残る2つの町も見どころ満載だ。

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「オーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソー」のエントランス。ここからもうワクワクが止まらない!?(2023年4月筆者撮影)

ヒューエンデンは、この町の南に位置する集落「ムッタブラ」近郊で1963年に見つかった鳥脚類恐竜「ムッタブラサウルス」の「ヒューイ」で知られる町。ムッタブラサウルスの名称は、発見場所であるムッタブラにちなんでつけられたものだ。

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ヒューエンデンのシンボルでもある鳥脚類恐竜「ムッタブラサウルス」の「ヒューイ」。(Credit:Tourism and Events Queensland)

ヒューイは、全長約7メートルで鳥脚類としては中型から大型。骨格の大部分が良好な状態で見つかり、オーストラリアでは最も完全な姿で発掘された恐竜の化石のひとつでもある。ヒューエンデンのビジターインフォメーションセンター(通称:フリンダース・ディスカバリーセンター)には、このヒューイの等身大レプリカが展示されているほか、周辺エリアで発掘された恐竜や古代生物の化石を見ることができる。

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リッチモンドではこんなユニークな「クロノサウルス」がお出迎え。初めて見た時よりずいぶんきれいに...(笑)(Credit:Tourism and Events Queensland)

リッチモンドは、かつてこの地に生息していた先史時代の爬虫類や海洋生物の化石が多く発見されたことから、世界的に有名な町となった。現在の周辺エリアは、乾燥した空気に包まれ、赤茶けた土に覆われた荒野が広がるが、1億年以上前は広大な内海があったことがわかっており、リッチモンド周辺ではとくに、海棲の古代生物の化石が多く発掘されている。今もほぼ毎月のように新種が見つかっているそうだ。

なかでも、この地の重要性を世界に知らしめたのが、町の近郊で発掘された白亜紀前期の首長竜目の海棲爬虫類「クロノサウルス」。種小名の「クイーンズランディカス」は、発見された場所であるクイーンズランド州にちなんだものだ。

このほかにも、町からわずか50km足らずのところで、首長竜の仲間とみられる化石がほぼ完全な姿で発掘されている。地元では「プレシオサウルスのペニー」の愛称で親しまれているが、まだ学名が付けられていないため、QM F18041という名称のままだ。

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地元では「ペニー」の愛称で親しまれている首長竜の仲間 QM F18041。(Credit:Tourism and Events Queensland)

ペニーは長年、その外観から『オパールになった恐竜』として知られる「エリック」と同じプリオサウルスの仲間とみられていたため、「リッチモンドプリオサウルス」と呼ばれてきた。しかし、近年ではプリオサウルス類よりも首の長いエラスモサウルス類の近縁という見方が濃厚だそうだ。

リッチモンドの町のシンボルでもある博物館兼研究施設「クロノサウルス・コーナー」には、これらの標本をはじめ、周辺エリアで発掘された恐竜をはじめとする古代生物や植物など、約1,150もの化石が展示されており、オーストラリアの古生物学コレクションとして見応えあるものとなっている。

恐竜好きなら一度は足を運んでみたい「オーストラリア恐竜トレイル(オーストラリアン・ダイナソー・トレイル)」。4WDを乗り出してすべての町を制覇するのがベストだが、時間がないという人は、ウィントンの「オーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソー」だけでも行ってみて欲しい。恐竜を満喫できるさまざまな工夫があり、とくに恐竜好きの子連れ家族にぴったりの旅行先だ。詳細は追ってご紹介するので、お楽しみに!〈了〉

>>オーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソー、公開しました!2023/07/18 ⇒ 恐竜時代へタイムスリップ!豪最大の恐竜専門博物館 オーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソー

▼Australia's Dinosaur Trail オーストラリアズ・ダイナソー・トレイル

【オーストラリア恐竜紀行シリーズ】
オーストラリアで『恐竜』をテーマに旅する三部作! この記事と他2本もご一緒にどうぞ。
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Special thanks to:Tourism Australia, Tourism and Event Queensland

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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