Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア
各州を代表するお国自慢ビールと複雑な豪ビール事情
複雑なオーストラリアのビール業界
前ページで各州を代表するビールを1種ずつ(タスマニアのみ南北各1種=2種)挙げてきたが、このうち、純粋にオーストラリア資本なのは、南オーストラリア州のクーパーズとタスマニア州のカスケードだけとなってしまった。驚くことに、この2社を除くその他すべての州代表ビールが、日本の企業に買収されてしまっているのが現状だ。
トゥーイーズ、フォー・エックス、ジェームス・ボアグス、スワンはもとより、次点として挙げたサウスワーク、ウェストエンド、エミューもすべて、キリン・ホールディングスが100%出資する子会社「ライオン」の傘下ブランドとなっている。
1998年から豪最大手のビール醸造メーカーであった「ライオン・ネイサン」に出資してきたキリン・ホールディングスは、2009年10月に全株を取得し、ライオン・オーストラリアとしてビール部門では豪国内最大企業だ。
また、消滅してしまったノーザンテリトリーの1ブランドを含む、残りのビクトリア州の3ブランドは、2019年にアサヒグループ・ホールディングスが、製造会社である「カールトン&ユナイテッド・ベバレッジ」を買収し、アサヒ傘下となった。(参照)
オーストラリア・ビール界の最新トレンド
オーストラリアでは、もともと「スタビー」と呼ばれる350ml前後の小瓶タイプが主流で、栓を抜いてそのまま口飲みするスタイルだったが、最近は輸送や安全面などを考慮してか、アルミ缶タイプが増えてきている。
また、おいしいビールを追求するオージーのビール好きはとどまることを知らず、近年、小規模でクラフト・ビールを製造するマイクロ・ブリュワリー(醸造所)がそこかしこにできており、どこも地元で大人気だ。
地元愛にあふれた歴史あるビールに加え、最近増えているマイクロ・ブリュワリーが切磋琢磨しながら造るクラフト・ビールを飲み比べながら、お気に入りを探す『ビール放浪』の旅が、オーストラリアの新たな楽しみ方のひとつになりそうだ。〈了〉
【関連コラム】オーストラリアの郷土愛あふれるビール文化
・なぜ、州毎に地域を代表するビールが生まれたのか?など、オーストラリアのビールの歴史をご紹介。
著者プロフィール
- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
Twitter:@mikihirano
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