Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア
オーストラリア、入国時のワクチン接種要件廃止でコロナ前同様の入国が可能に
オーストラリア政府は、これまでコロナウイルス対策規制のひとつして、海外からの入国者に対して義務付けてきた「ワクチン接種(2回以上)証明書」の提示を7月6日付けの到着分より不要とし、ワクチン接種状況を事前に登録するデジタル渡航申告(DPD)および海上渡航申告(MTD)を廃止した。(参照)
これにより、海外からの旅行者でも、オーストラリア渡航に際して必要となるのは、コロナ前と同様にETA(電子渡航許可)のみとなり、ワクチン未接種者でも医学的免除措置等の申請が不要となった。
オーストラリアでは、空港利用者に対して義務付けられていたマスク着用も廃止され、現在、国境関連のコロナ規制で残っているのは、一部を除く機内でのマスク着用のみとなっている。ただし、国とは別に州が個別に規制をしていることがあるため、注意が必要だ。渡豪を計画している人は必ず、渡航先の州の要件を確認して欲しい。
ワクチン接種証明提示を独自に義務付ける豪航空会社に批判の声
国としては、7月6日からワクチン接種状況に関係なく、入国できるようになったわけだが、オーストラリアのフラッグ・キャリアであるカンタス航空と同傘下のジェットスター航空は、同グループ国際線利用客に対し、現時点=7月14日でも引き続きワクチン接種証明を求めたままとなっている。
Australia has dropped Covid rules for international visitors. But if you fly in or out on Qantas, you must provide proof of vaccination.
-- Simon Calder (@SimonCalder) July 6, 2022
The Australian carrier is one of very few that demands passengers are jabbed even if the destination has no requirementhttps://t.co/fHR8f7LE5E
カンタス航空グループは、同社のコロナウイルス対策は、国の公衆衛生判断と規制を遵守するとしてきたが、このワクチン接種証明書の提示に関しては、すぐに動こうとはせず、そのままとしていたため、国内外から批判の声が相次いだ。
Qantas, like other companies have always claimed they made decisions based on the government " health advice". Well now the Australian government is relaxing vaccination requirements yet Qantas still want to require passengers to be vaccinated. Show us your reasons Qantas pic.twitter.com/t5OK4inTRZ
-- Free Thinker (@freethought202) July 5, 2022
こうした中、カンタスは、7月13日になってようやく、国際線利用客に課しているワクチン接種証明書の提示を7月19日以降は終了すると発表。(参照)
しかし、社員・スタッフへのワクチン接種義務は継続するという。
カンタス航空は現在、国際線搭乗者のワクチン接種要件(接種者のみ搭乗可)を7/19で廃止するが、同社スタッフへの接種義務は続けるとのこと。これまで同社は国の方針を遵守するとして、国際線搭乗客に接種要請してきたが、国が廃止してもそのままにしており非難されていた...https://t.co/9juGTja2Hq
-- Miki Hirano (@mikihirano) July 13, 2022
スタッフ不足で混乱する空港
せっかく国境規制が正常化したにも関わらず、現在、コロナ禍での慢性的なスタッフ不足とスクールホリデーが重なったこともあり、各地の空港で混乱が生じている。(参照)
チェックイン・カウンターには長蛇の列ができ、ターミナル・ビルの外まで人があふれ、チェックインまで何時間もかかるだけでなく、フライトのキャンセルや遅延も日常茶飯事となっている。また、受託手荷物の紛失も問題に...。シドニー空港で手荷物の積み下ろしを行うスタッフの証言によると、カンタス航空利用客の手荷物のうち10個に1個は、正確に積み荷されない状況だという。(参照)
空港は、コロナ禍で人々の動きがほとんど停まっていたために、少人数体制となっていたところへ、コロナ規制を廃止したことで利用者が急増。少数人数のスタッフで対応せざるをえない状況に加え、スタッフ間で感染が広がり、陽性判定されて自己隔離期間中働くことができなくなる人が増え、さらなる人員不足に陥っているというのだ。(参照)
豪航空業界では、社員・スタッフへのワクチン接種を義務化しているが、人員不足となる事態を避けられていないようだ。こうした感染拡大などによるスタッフ不足は、航空業界に限らず、さまざまな業界で問題となっているが、空港でのカオス状態をみるにつけ、コロナ規制が撤廃されても、パンデミック以前の平常が取り戻せるのは、まだまだ先のように思えてならない。〈了〉
著者プロフィール
- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
Twitter:@mikihirano
個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/
メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/