Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア
森林火災で被災したコアラを再び森へ。カンガルー島、復興の記録
コアラの森、復活の兆しと新たな問題
延焼が拡大し、最も被害が深刻だったのが、島西部の大半を占める「フリンダース・チェイス国立公園」だ。公園面積の98%が被災し、ほとんどが壊滅状態となってしまったこのエリアが、野生のコアラの一大生息地であったため、コアラたちはすみかの85%を失ってしまった。
昨年1月に訪れた際は、以下のような感じで、見渡す限り真っ黒に焼け焦げていた...(その時のリポートはこちら)
今回、ほぼ同じ辺りを再訪することができた。
ご覧のように、一目見ただけでもかなり緑が復活してきているのがわかる。また、火災によって大地に落ちた種から、たくさんの植物が芽吹いていた。
ゴンドワナ大陸に由来するものが数多く現存するオーストラリアの植物は、発芽に火などの何らかの外部要因を必要とするものも多い。太古の昔から火と共に生きてきた植物たちは、子孫へと命を繋ぎ、新たな森を再生し始めていた。驚くほどの自然の回復力(元の状態に戻ろうとする力)は、本当に目を見張るばかりだ。
案内してくれたカンガルー・アイランド・オデッセイ社のガイレーン・イングラムさんによると、火災後、これまで見たことがなかった花が咲いているという。これまでは鬱蒼とした森に隠れ、見えなかった植物たちが、そこに生きていることを知らせているのかもしれない...とふと思った。
しかし、大規模な火災によって思わぬ環境の変化が起こり、『新たな問題』が発生していると、ガイレーンさんは少し暗い顔をした。
それは一体、どういうことなのか?
ガイレーンさんの言う『新たな問題』を確かめに、島の南西部へ、そして、もう一度行きたかった南部の海岸エリアへ足を運んでみることにした。
南部の海岸には、島のシンボルともいえる奇岩やアシカやオットセイといった鰭脚類(ききゃくるい)の楽園がある。なかでも、奇岩エリアは、深刻なダメージを受けたフリンダース・チェイス国立公園内にあるが、昨年1月に来島した際には、通行止めになっていて、訪れることができなかった場所だ。
森林火災の影響はどの程度だったのだろうか...?
※次回は、カンガルー島南西部と南部の海岸エリアをリポートします。(2021/4/4:続編、UPしました! 下のリンクからどうぞ)
★この「森林火災被災地 カンガルー島、復興の記録」のコラムは、前編(=これ)と後編に分かれています。後編はこちら。
以下で1年前の火災当時の島の様子を詳細にリポートしています。当時の写真も多く掲載していますので、よかったら合わせてお読みください!
▼カンガルー島は元気です!Part 2 ~森林火災の実際の被害状況とコアラの現状と未来
Special thanks to:Tourism Australia, South Australian Tourism Commission, Kangaroo Island Wildlife park, Kangaroo Island Odysseys
著者プロフィール
- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
Twitter:@mikihirano
個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/
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