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平野美紀|オーストラリア

はやぶさ2、地球へ帰還 目指すはオーストラリア!

現地へ行けないファンのためにJAXAが監修して作ったカプセル予測軌跡をAR表示するアプリ「Reentry AR」のトップ画面

2014年12月、種子島宇宙センターから打ち上げられたH-IIAロケットに搭載された小惑星探査機「はやぶさ2」が、宇宙へ旅立って早6年。

「はやぶさ2」は2018年6月27日、小惑星「リュウグウ」に到着。探索を行い、採取した砂の入ったカプセルを地球へと届けるという一大ミッションを遂行すべく、昨年末、「リュウグウ」を出発。

今月1日には帰還へ向けた最後の軌道修正に成功。いよいよ、地球まで70万kmを切った。現在も地球を目指して飛行中だ。

目指すはオーストラリア内陸部ウーメラ!

南オーストラリア州ウーメラは荒野のど真ん中

StuartHighway.jpgウーメラ付近を通過するスチュアート・ハイウェイ(2015年筆者撮影)

カプセルを着地させるのは、今回も先代「はやぶさ」がカプセルを帰還させた場所と同じく、オーストラリア内陸部のウーメラ。南オーストラリア州の州都アデレードから約450km北北西に位置する砂漠地帯だ。

ウーメラは、軍事機密地区に指定された広大な立ち入り禁止区域「Woomera Prohibited Area ウーメラ立入禁止地区」となっているため、施設で働く人と訪問者のための小さな町ウーメラ・ビレッジ以外に民家などは一切なく、こうした飛来物を落下させるのにはうってつけの場所だ。

オーストラリア内陸部は、ただただどこまでも続く果てしない荒野が広がっている。近くに町はない。

ウーメラ・ビレッジも例外ではなく、最も近い町は、約180km南のポート・オーガスタ、もしくは、北側約375 km先にある地下都市として知られるクーバー・ペディが最寄りとなる。ウーメラとクーバー・ペディの間には2軒ほど、ガソリンスタンドと休憩所を兼ねたロードハウスがあるだけで、他は立ち入り禁止の荒野と1本の幹線道路スチュアート・ハイウェイが走っているのみ...

※ウーメラに関しては、以下の記事で詳しく書いているので、よかったら合わせてお読みください!

「はやぶさ2」が帰還するウーメラってどんなとこ?



はやぶさ2  帰還スケジュール

地球帰還予定日時は、2020年12月6日。

「はやぶさ2」が投下するカプセルが大気圏に突入するのは、オーストラリア現地時間午前 3:58~3:59頃の予定。日本時間では午前 2:28~2:29頃となり、この約1分間、カプセルが火球となって突入する様子が見られるそうだ。(参照

12月2日に行われたメディア向けのブリーフィングでは、軌道修正も滞りなくスムーズに行われ、現時点での心配はほぼなく、すべて順調。予定通りの帰還ができそうだとのこと。

JAXAはこの大気圏突入の様子も含め、オンラインでライブ中継する予定で、この前後を含めたわずか数分間に、世界中の宇宙ファンの目が釘付けになりそうだ。

JAXA Youtube Channel

今のところ、5日の現地の天候は、「ところどころ曇り」。しかし、午後から夜半にかけて強い風が吹く予報で、6日未明は雲が飛んでくれるのではないかと期待している。

あと心配事があるとすれば・・・翌朝の回収時に、野生のエミューが邪魔しないことくらい...(笑)




新型コロナの影響で回収班は特別に入国許可

今年は、新型コロナウイルスの影響でJAXAの「はやぶさ2」カプセル回収班にとっては、余計な苦労があったようだ。

海外からオーストラリアへは入国不可となっていたため、オーストラリア政府の特別許可を得なければ入国できず、しかも、オーストラリア入国後に14日間の検疫隔離を経なければ、市中に出ることは許されなかった...(参照

また、やはりコロナの影響で国際線もかなり限られている上、オーストラリア国内の国内移動もままならない状態だったため、回収班は、日本航空のチャーター便で直接、南オーストラリア州のアデレードへ向かったという。

しかし、ここで思いがけず嬉しいハプニングが・・・!

2班に分かれて日本を出発した回収班をオーストラリアまで送り届けたJAL便名は、「JL 8823」。なんと語呂合わせで「ハヤブサ」と読める便名となっていたのだ。この日本航空の粋な計らいに、JAXAスタッフのみならず、日本中の航空及び宇宙ファンが感激したに違いない。(参照



現地で観測しているようなバーチャル体験できるアプリ

JAXAは、現地へ行けないファンのために、任意の場所から見たカプセル予測軌跡をAR表示するアプリ「Reentry AR」を監修・開発、Toriningen社より無料で提供中だ。

このアプリでは、現地から遠い場合、クーバー・ペディからの見え方を表示してくれ、JAXAの説明によれば、再突入カプセルは北西の方角から飛行してきて、クーバー・ペディのちょうど真上辺りを通過するような形で、ウーメラ立入禁止地区へ着地するルートとのこと。自分もクーバー・ペディで見ているような気分になりながら、「はやぶさ2」とカプセルの無事の帰還を見守りたいと思う。

尚、「はやぶさ2」本体は、カプセルを分離した1時間後に軌道修正し、再突入コリドーから外れ、地球から離れる軌道に乗る予定とのことだ。(参照

新型コロナウイルスにより、オーストラリアへの渡航が制限されてしまっていることが非常に残念ですが、現地へ行けなくてもカプセルのリエントリーを想像していただければ幸いです。 by JAXA はやぶさ2プロジェクト・チーム

Reentry AR ダウンロードサイト

その他、はやぶさ2プロジェクトの詳細はJAXA公式サイトで!

はやぶさ2プロジェクト 

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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