ダイバーシティ先進国ベルギーから観る欧州 LGBTQI 事情
「密」回避でイルミネーションにも影響が
イルミネーションの設置準備は異様に早かった今年
そんなブリュッセルの街中ですが、通りを飾るクリスマスイルミネーションの設置は例年と比べものにならないくらい早かったのでした。どのくらいかというと、ハロウィーンの5日も前の10月25日。例年より4週間ほど早い計算になります。我が家の建物の目の前にも、ロワイヤル(ロイヤル)地区の名に因んで王冠型の電飾が設置されるのですが、最初に建物から出てその姿を見た時には「もう11月も終わりかぁ〜」と、一瞬1ヶ月暦を間違えたくらいでしたので。
その頃近所のテイクアウトのみで営業中のお店スタッフにその旨伝えてみると、春の第1波のロックダウンで3ヶ月も営業停止を食らったので、クリスマスイルミネーションを大幅に前倒して、活気づける意図があるんじゃないの?などと言っていましたが、そうした市や商店街の期待もむなしく、第2波が最悪の状況になってきつつあり、この灯りが商売の後押しをすることなく、飲食店の営業停止がまた始まり、ハロウィーン後にはロックダウンを迎えることとなってしまったのでした。
そして、この4週間も早く設置されたイルミネーションですが、結局点灯することになったのは例年同様に11月末で、約1ヶ月光を放つことはなかったのでした。ロックダウンに夜間外出禁止令が出された以上、無闇に出歩かないように!という意図があったのでしょう。
世界遺産の広場、グランプラスのクリスマスツリーの点灯式も非公開で実施
ブリュッセル旧市街の中心ある広場グランプラスには、毎年クリスマスツリーが立ちます。ベルギー各地の中から1ヶ所選ばれて適齢期となったモミの木が運ばれてきて、広場の石畳を剥がして設置。数日の間で飾り付けをして、11月の最終金曜日にツリーの点灯式が行われ、同時に広場を取り囲む荘厳な建物をスクリーンに見立ててプロジェクションマッピングをする「音と光のショー」も封切りとなります。
その慣習に倣えば11月27日の金曜日が点灯式になるはずですが、今年は24日の火曜日に突然ツリーが点灯。映像も音楽もなしで、建物が地味めに彩られて何色か色が変わるというイルミネーションだけが行われました。点灯式もブリュッセル市長(区長)と一部の関係者のみで行ったようでした。これは、先ほどお話しした我が家の通りのイルミネーションが同じ日の夕方に灯りがともったので、もしや?と思い、市のホームページで公開されている広場に設置されているウェブカメラの映像で確認してみたことで発覚したのでした。
我が家界隈のイルミネーション。夜は勿論、昼間でも薄暗い日も多いので灯りは嬉しいのです。©︎ hiquirin
それでも、クリスマスカラーの赤と緑で点滅を繰り返した後、青や紫に広場全体が包まれたりするような「光のショー」は、普段のライトアップとは違うため、クリスマスシーズンの到来を感じさせるものでした。そして、僕らも翌日25日(水)の夜にグランプラスに向かってみたのですが、光のショーはなく、ずっと赤くライトアップされたままでした...残念!
著者プロフィール
- ひきりん
ブリュッセル在住ライター。1997年ドイツに渡り海外生活スタート、女性との同棲生活中にゲイであることを自覚、カミングアウトの末に3年間の関係にピリオドを打つ。一旦帰国するも10ヶ月足らずでベルギーへ。2011年に現在の相方と出逢い、15年シビル・ユニオンを経て、18年に同性婚し夫夫(ふうふ)生活を営み中。
ブログ:ヨーロッパ発 日欧ミドルGAYカップルのツレ連れ日記
Twitter:@hiquirin