ダイバーシティ先進国ベルギーから観る欧州 LGBTQI 事情
欧州では既に同性愛者の首脳が誕生している【前編】
ベッテル首相と日本の安倍前総理
ルクセンブルクも加盟するEU(ヨーロッパ連合)では半年毎にEU議会の議長国を交替する輪番制をとっているが、2015年後半(7~12月)の議長国はルクセンブルクで、そのタイミングでベッテル首相はEU域外での初めての外遊訪問先として日本を訪れた。同年12月には安倍首相がルクセンブルクを訪れて首脳会談を行い、フランス・パリで発生した同時多発テロに関連しての情報共有、国連での日本の常任理事国入りにルクセンブルクが協力することなどを確認、 日EU経済連携協定(EPA)に関しての協議もなされた(2018年、EPAは締結に至る)。
今年5月にも両者は電話会談を行って、新型コロナウイルス感染症対策への取り組みや経済復興について話し合い、ベッテル首相は状況が許せば早期に訪日したいとの旨も伝えられていた。残念ながら8月28日の安倍首相の退陣表明によりその実現は叶わなかったが、ベッテル首相からツイッターでも労いの言葉が寄せられ、安倍首相からも謝意が伝えられている。
Thank you @Xavier_Bettel for your heartfelt message and warm hospitality during my visit to Luxembourg 5 years ago. I sincerely hope the relations between Japan and Luxembourg will develop further. https://t.co/POVnQnlIVb
-- 安倍晋三 (@AbeShinzo) September 3, 2020
安倍首相の後継者となった菅総理大臣は、総裁選中から官房長官として数多くの首脳会談や電話会談で同席していたと語っていた。これまでのベッテル首相との会談にも居合わせていたかどうかは不明だが、今後両首脳が直接外交の場で顔を合わせる機会が訪れることを望みたい。
日本の現状
我が国では同性愛者による総理大臣誕生までの道のりははるか遠いもののような感があるが、その日本にも同性愛者を公言する現職の国会議員が2人選出されている。女性同性愛者(レズビアン)の尾辻かな子衆議院議員 @otsujikanako と男性同性愛者(ゲイ)の石川大我参議院議員 @ishikawataiga 共に野党第一党の立憲民主党所属の議員だ。両議員には今後召集される国会で菅総理や閣僚との実りのある質疑答弁、各委員会などでの発言の場に立ち、見応えのある論戦を期待したい。
*LGBTは知っているけれども LGBTQI って何?と仰る方は、下記記事の最後に詳しく説明しているので
併せてお読み下さいませ。
「コロナ禍でゲイタウンもひっそりと」
「同性婚導入17年経過のベルギー、新婚の40組に1組は同性同士」
著者プロフィール
- ひきりん
ブリュッセル在住ライター。1997年ドイツに渡り海外生活スタート、女性との同棲生活中にゲイであることを自覚、カミングアウトの末に3年間の関係にピリオドを打つ。一旦帰国するも10ヶ月足らずでベルギーへ。2011年に現在の相方と出逢い、15年シビル・ユニオンを経て、18年に同性婚し夫夫(ふうふ)生活を営み中。
ブログ:ヨーロッパ発 日欧ミドルGAYカップルのツレ連れ日記
Twitter:@hiquirin