ダイバーシティ先進国ベルギーから観る欧州 LGBTQI 事情
欧州では既に同性愛者の首脳が誕生している【前編】
さて、ベッテル首相、2015年自らの首相在任中に合法化した同性婚で、長年法的パートナーシップ(シビルユニオン)関係にあったベルギー人男性で建築家のゴティエ・デストネ氏 Gauthier Destenay と結ばれ、その様子は現地メディアにも大きく取り上げられた。
別のメディアの動画では、結婚式を終えて出てきた2人に市庁舎前に集まった友人や支持者、報道陣から「ビズ!ビズ!(bisou! bisou!)」とキスを求められるシーンが流されたが、慎ましくハグだけに留めた様子が捕らえれている。
1年後の首相公式ツイッター @Xavier_Bettel では、2人の仲睦まじい画像とともに「既に幸せな一年が経ちましたが、いまだに(同性愛者として)愛することが犯罪となる国もあることを忘れてはならないですね」とツイート。
Already a year of happiness but we should never forget that being in love is still a crime in some countries.XB pic.twitter.com/3xLYVvD90V
-- Xavier Bettel (@Xavier_Bettel) May 15, 2016
ファーストジェントルマン、政治家の配偶者としての夫の役割
デストネ氏はファーストジェントルマンとして内政、外交の舞台にも同行する。
写真は2人がまだ結婚前のパートナー段階の2014年のもので、当時の駐ルクセンブルク・アメリカ大使夫妻との一枚。
2017年ブリュッセルで開催されたNATO首脳会議期間中、首脳夫人たちはホスト国ベルギー・マティルド王妃のおもてなしを受けていたが、デストネ氏は各国のファーストレディーに混じりファーストジェントルマンとしての"夫人"外交を展開。ラーケン宮での記念撮影の際にも堂に入った姿で収っているが、当時多くの好意的な反響が世界中から寄せられた。
副首相もゲイ、2トップで国政を主導
また、ベッテル首相の下では、2013年12月から今年2020年2月まで、同じくゲイを公表している エティエンヌ・シュナイダー氏 Étienne Schneider がナンバー2の副首相を務めており、経済通商大臣、防衛大臣、保健大臣などを歴任。首相、副首相ともに国の2トップが男性同性愛者の内閣が6年強続いたことになる。シュナイダー氏はこの夏政界を引退、来年夏空席となる欧州宇宙機関(ESA, 米国のNASAや日本のJAXAにあたる宇宙センター)の次期事務局長のポストを狙っているとされている。ちなみにプライベートではこちらもめでたく2016年に銀行員の ジェローム・ドマンジュ氏 Jérôme Domange と結婚している。
Meeting in Tokyo with HE Yoshimasa Hayashi @mextjapan, Japan's science & technology minister at the 2nd International Space Exploration Forum (ISEF2), a ministerial-level meeting to build support for global cooperation in space exploration and sustainable growth pic.twitter.com/AVocEpzjUn
-- Etienne Schneider (@EtienneSchneide) March 3, 2018
2018年東京で開催の宇宙探査に関する閣僚級の国際会議「第2回国際宇宙探査フォーラム」で、
当時の林芳正文部科学大臣と会談するシュナイダー副首相(当時)
Fête nationale, 2e acte!
Etienne Schneiderさんの投稿 2019年6月23日日曜日
昨年の建国記念日に勲章をつけて正装して式典に臨む副首相(当時)と夫ジェロームさん
著者プロフィール
- ひきりん
ブリュッセル在住ライター。1997年ドイツに渡り海外生活スタート、女性との同棲生活中にゲイであることを自覚、カミングアウトの末に3年間の関係にピリオドを打つ。一旦帰国するも10ヶ月足らずでベルギーへ。2011年に現在の相方と出逢い、15年シビル・ユニオンを経て、18年に同性婚し夫夫(ふうふ)生活を営み中。
ブログ:ヨーロッパ発 日欧ミドルGAYカップルのツレ連れ日記
Twitter:@hiquirin