NYで生きる!ワーキングマザーの視点
明石もも脚本作品VOICEが上演されたNYタイムカプセルプロジェクト
マジソン・スクエアガーデン近くにある小劇場で、ニューヨークと日本の次世代クリエイティブリーダーを育成するための「タイムカプセルプロジェクト(Time Capsule Project)」が、初上演された。
参加アーティストたちは、豊島藍がプロデューサー兼エグゼクティブディレクターとして活躍したことで、それぞれの作品を制作し、パフォーマンスを行う場が提供され、小劇場ではあったが、ほぼ満席という観客の前で公開するチャンスを得た。
今回、私が中でも興味をもったのは、以前に取材させていただいた脚本家である明石もも(記事リンク)の作品「VOICE」。
病院内での出来事が主な内容で、出演者は3人だが、まるでもっとたくさんの人がいるかのように感じるのはなぜだろう。役者さんたちの演技力?はたまた、情景の見えるような細かな描写だから?同作品の脚本を書いた明石ももにお話をうかがった。
なぜ主人公の女性は底抜けにキャラが明るかったのでしょう?自殺現場に居合わせた時も明るかったのが、気になりました。
もしかして実在の人物ではなかったのですか?もしくは、女優さんの演技が元々そうなのでしょうか。
「女性のキャラクターLinaは、通り間に合い、生死を彷徨いながらも一命を取り留めた。本人のセリフでも" Feeling that cold knife against my throat gave me a will to live" と言っているように、事件以降小さな事にはクヨクヨしなくなってる吹っ切れた状態だったため、他のキャラクターに比べて明るく見えたんだと思います。」
逆に主人公の女性のキャラクターが暗いときもあったりしましたが、二重人格だったということなのでしょうか?
「彼女は多重人格の疑いもあり、また主人公Sethの想像の中で、彼の母親を投影する存在として現れた説もあります。ここは、見る人によって様々な解釈があるシーンだと思います。」
もしかして、すべてが死後の世界の話だったのではないのでしょうか?もしくは臓器移植した臓器を持ってた人の暮らしを移植された男性は見ていたのではないでしょうか?
「Sethは母親から心臓移植を受けたので、母親の記憶を時に夢で見ています。」
あの短い間で、なぜ二人は惹かれあったのでしょうか?理由があるのでしょうか。そもそも恋愛に理由など、ないかもしれませんが。。。
「2人が数日で惹かれあったのは、会員制病院というどこか普通の世界とは距離がある場所で出会って、共通点だったり逆に違う世界を見せてくれることから特別な気持ちが芽生えたのではないでしょうか。」
案外、淡々としたリズムで舞台が進んでいったのですが、ドラマチックな演出の好きなアメリカ人にも好感度はあがるのでしょうか?
こういう淡々とした舞台は人種に関係なく、好みだと思うのですが。。。私は身ぶり手ぶりが大げさな演出の舞台も嫌いではないですが、わりと淡々としているほうが好きです。
「今回は、小さい劇場ということもあり、動作や演技を大きく見せるより、それぞれのキャラクターの精神的なつながりを会話の中から伝えることを意識した演出でした。オフブロードウェイやオフオフの規模だと、結構こう言った静かに物語が進む作品もありますね!
おそらく、これがもっと大きい会場だったり、演出や演技を変えるとまた印象は変わるのだと思います。」
明石ももの英語の脚本は、物語を創り出すという才能だけでなく、アメリカに住んでいるからこそという、言い回しや状況に対する視点を感じとることができる。その中に日本で培われた繊細な描写が加わっているところも素晴らしい。
花束を抱えているのが、脚本家の明石もも
【VOICEのチームメンバー】
劇作家:Momo Akashi
演出:Kevin Cheng
出演:Mai Ozeki as Lina, Raymond Xavier as Seth and Sudip Ulak as Dr. God Hand
英語コンサルタント:Alex York
脚本コンサルタント:Zoe Ray Prawda
Song "i like...":Maria White and Naomi Harris
【タイムカプセルプロジェクト】
才能あふれるチームは、このプロジェクトを通じて新たな才能の発掘と成長をサポートしていくこととなります。
プロデューサー/エグゼクティブディレクター 豊島藍
アソシエイトプロデューサー/マーケティングデザイナー 平山美紅
共同プロデューサー 柴田真理子
ボックスオフィスマネージャー 伊藤星沙
英語コンサルタント アンドリュー・ブラック
ソーシャルメディアコーディネーター 吉村南美
著者プロフィール
- ベイリー弘恵
NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。
NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com