漸 -zén- TOKYO GEIDAI JAPAN ART WEEK開催中のThe Blue Galleryにて、9月10日に東京藝術大学卒業生のソプラノ歌手中川直子さんとピアニストの市川純子さんが、月と秋をテーマにした芸術歌謡とピアノ曲を演奏した。

プログラムには、日本の伝統的な民謡や芸術歌のほか、有名なオペラのアリア。日本の曲はもちろん、ドイツ、イタリア、アメリカの曲も演奏され、美しいピアノの流れにのせられた清らかな歌声を聴いていると、旅をしているような気分で、癒されるものだった。

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今回は、GEIDAIミュージック＆アートコラボレーションということで、譜面台の周りには、ジュエリーアーティストの窪田啓子さんの宇宙をモチーフにしている作品、そして二人が身に着けている衣装もデザイナーの山崎ナナさんが設立したYAMMAのステージ衣装。

天然素材の会津木綿をつかったYAMMAの衣装もとても着心地よさそうで、窪田さんデザインの宇宙をモチーフのジュエリーが映える。

コンサートのあと、音楽を演奏したお二人にお話をうかがった。

中川「今回、藝大の美術展を開催するというので、ただのコンサートではなくて、美術の人とコラボで何かできるように、衣装とアクセサリーを身につけさせていただきました。普通のコンサートと違って、美術の方とコラボできたことはとてもいい企画だったと思います。」

日本では、音楽専攻と美術専攻が完全に分かれていて交わらないと伺いましたが。

中川「はい、日本ではお神輿を年に一度だけ共同で制作するのですが、音楽の人たちは何も協力することができなくて、こちらへ来て美術の人とコラボできたことはよかったです。

コンサートの合間にも、墨流し（墨汁を水に垂らした際にできる模様、またはその模様を染めたもの。同イベントで、アーティストTakashi Haradaの協力により行われた。)をして、家族で訪れた人たちが楽しんでました。 」

お二人は藝大卒でニューヨークにお住まいですが、これまでも一緒に演奏されたことがありますか？

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市川「学生のころから仲良しで、お互いニューヨークにいるのでそれからも20年以上お付き合いしてるのですが、演奏を一緒にしたのは今日が初めてでした。」

中川さんのご主人がいつもはピアノを演奏されてるからでしょうか？

中川「普段は主人と演奏をすることが圧倒的に多いけれども、今回は市川さんと共演できたことで作曲家（ご主人が作曲家）とピアニストで捉え方が違ってとても面白かったです。」

楽譜の前に展示されている作品と身につけているアクセサリーがマッチしていて、とても素敵でした。

中川「素敵なジュエリーで、見た目より、身に着けていて軽いんです。ただしアート作品なので、壊さないように注意してました。」

今回のコンサートを皮切りにお二人で演奏を続けられそうですね。

市川「そうですね。今回は、秋というテーマだったので、冬、春に夏という感じで続けられるといいですね。」

藝大OBの裏話では、学校内で80～90年代は、美術と音楽のクラスの間にリアルに細い道があって、数メートルの道路なのに、なぜだか厚い壁のような隔たりがあったそうだ。こうしてニューヨークという異国の地でコラボが実現したことは素晴らしい。

今回のイベントは、「GEIDAIミュージック＆アートコラボレーション」で、ニューヨークでも藝大の認知度を上げるための地盤固め。ニューヨークで今後も音楽とアートのコラボを続けていってほしい。