World Voice

NYで生きる!ワーキングマザーの視点

ベイリー弘恵|アメリカ

東京藝術大学現役の教授と学生そして卒業生でNY在住のアーティストがNYギャラリーでコラボ展示

©NY1page.com LLC,

顔出しくんアートを長年続けているアーティストであり漫画家の高嶋リカさんのお誘いで、東京藝術大学のイベントに行ってきた。今回は、東京藝術大学の教授や学生さんたちの作品、そして東京藝術大学卒でNY在住のアーティストの作品も展示されるというコラボ。

加えて東京藝術大学卒でNY在住の音楽家がピアノとソプラノで演奏もするという。そのお話は別記事にて。

いやはやあり得ないくらいの豪華さで、「度肝を抜かれたぜ〜。」っていうのは、このことだ。私事ながら、思わず藝大生の素敵な作品を購入してしまったほど。とにかく展示されている作品が素晴らしいので、見逃すことなかれ。

まず顔出しくんアートというのは、なにか?っていえば、高嶋さんは、観光地にあるような侍の顔が開いてる穴の中に顔を出すというパネルをアートとしてアメリカで広げているのだ。それが仏像だったり、今どきな女子高生だったり、人種もアフリカ系やらインド系、いろいろとハンパない数の人物や人物でないものを展示してきた。

かくいう高嶋さんも藝大卒なのだが、なぜかデザイン専攻ながら、学生時代はクラブ活動だったお芝居にハマってしまったのだそうだ。そこで思ったのは、観客に対してリアルに訴えかける芝居と、絵画というアートをコラボできないのか?ということ。そこで生まれたのが、顔出しくんだったというわけだ。

これまでは観客が顔を出して喜んでもらえるという楽しみだけをモットーにやってきたのだけど、今回の展示では、アート作品としての本気モードが炸裂、スワロフスキーが埋め込まれてるという赤い果実が盆栽になっているという和と洋のコラボ。

キラキラときらめいていて、なんだこれは〜!と、岡本太郎さんも驚くだろう存在感が素敵すぎる。もちろんこれまで通り顔出しくんの機能も備えているのが流石(ながれるいし)と書いてさすが。

高嶋さんも藝大卒なので、他の方たちのアート作品にもしっかり解説ができるところが流石。もういちどここで「さすが〜!」と声をあげてしまった。NYの日系新聞に4コマ漫画を長年描いていらっしゃるので漫画家さんなのだと思いこんでいたら、漫画の領域だけではなかった。

日本画は床に置いて上から描くのだという画法や、漆を塗って作品に色付けしてあるなどといった細かな技法が潜んでいることを教えていただいた。

IMG_4259.JPG©NY1page.com LLC,

アートに関して疎い私は、黄色いお花畑を描いてるだけって思ってた絵が、先に色を塗って擦ってから出てきた色だなんて「そんなの聞かないと、わからないよ〜っ」て、まさしく黄色い声をあげたほど。 全般的に日本人の作品は生真面目という言葉がピッタリ、作品のすべてに生真面目さがでているからこそ、日本人にとっては阿吽の呼吸で納得のできる作品である。 そんな中、ニューヨーク在住の日本人アーティストの自由奔放な作品とのギャップに、また繰り返すけど、「度肝を抜かれたぜ〜。」

今回、アートに疎い夫(ジャマイカ系アメリカ人)も連れて行ったのだが、興味深く一点一点を見ていた。美術館に連れていくと、いつも退屈だとボヤかれるのだが、今回ばかりは「素晴らしい」という感想だった。アート初心者にも楽しめる、優しい作品が日本人の芸術なのである。

ちなみにボクシングペインティングで有名になった牛ちゃんこと、篠原有司男さんの作品も展示されている。

私が買った作品は、皆さんにも会場へ行くチャンスがあれば、当ててほしいのだけど、仏教と現代アートが混沌としている絵画。

実際にこの絵を書いた画家さん(Mayumi Oshima)と話してみたら、彼女が命の危機に陥ったときに少年が助けてくれたという話。私も「水疱瘡の熱にうなされ、19歳で死にかけたときに出てきたのが少年だった。」という話を思わず語ってしまった。きっとあの世へいざなってくれるのが、同じように少年なのかもということに共感。ちょっとカルトだけど。

しかも彼女は作品について、「アートの方向性を決めるのが嫌で、全部入れ込んでしまえって思って、このように描きました。」

彼女の絵は、基本、仏教で仏像が中心に立ってよさそうな光を描いてるのだけど、その中に浮世絵みたいな日本画の技法で書かれたうさぎや、写真をくり抜いて貼ってるみたいな少年(もちろんそれも描いてる)、そしてかわいいクマちゃんまでが入り込んでいる。ここまで言ってしまうと、私が何を買ったかバレるね。

入り口に展示されているフクロウは、高嶋さんの解説によると、漆で色付けされているのだとか。日本には、その昔、絵の具というものが無かったため、実際にキラキラした石や貝殻、金箔や銀箔などを使っていたから、ごつごつした感じが出るそうな。


IMG_4175.JPG

©NY1page.com LLC,

藝大の現役の学生さんたちの作品も数々展示されており、本人登場(Hiromu Noda)で解説いただけたので、作品について解説いただけるのも楽しかった。

ツルンとしたオオサンショウウオのような形の深いブルーカラーが美しいガラス細工。これはご本人によると、海が生まれたばかりをイメージして作った作品だという、

1941年にタコマ生まれのガラスアートの芸術家チフーリ、NYやボストンでもよく展示されているのでリアルに見たことあるのだが、作風が少し似ている。

「どうしても好きなアーティストに少なからず影響されるってことはありますよね。」とご本人も語っていた。ブルーのグラデーションがとても美しく、深い海を感じさせる色づかいから、見ているだけで深い海の底にいるような気分を味わうことができる。

日本から来ているアーティストとNY在住アーティストの違いも垣間見れたことが、今回はとても楽しかった。それについては、私の話からではなく、NY在住者は会場へ行って、実際に見て感じてほしい。

<イベント詳細>

催事名:漸 -zén- TOKYO GEIDAI JAPAN ART WEEK

会 場:The Blue Gallery
222 E 46th Street New York NY 10017
(マンハッタン グランドセントラル駅より徒歩5 分)

会 期:2023 年9 月8 日 (金)から2023 年9 月16 日(土)まで
ギャラリー開館時間:午後12 時から午後7 時30 分まで (下記を除く)
9 月8 日(金) オープニングレセプション:午後6 時
9 月11 日(月) 午後5 時30 分閉館
展覧会入場無料(コンサート、ワークショップ等を除く)

参加アーティスト
東京藝術大学 教員ならびに修士・博士課程学生
<工芸科>
岩田広己(教授)・丸山智巳(教授)・谷岡靖則(教授)・小椋範彦(教授)・三上亮(教授)
藤原信幸(教授)・山田菜々子(准教授)・今井美幸(准教授)・佐治真理子(助教)・
鎌田晶(助手)・久保歩美・金希帥・今井貴絵・亀岡信之助・中居瑞菜子・早野樹・
单璐薇・野田紘
<日本画科>
齋藤典彦(教授))・岡路貴理・宇野七穂・陳天逸・坂本皓平・高盛大輔・山本明音・
吉川薫平
<デザイン科>
橋本和幸(教授)・鷲野愛未(助手)・高井碧・ヤマモトヒカル・鶴田朱里
<ニューヨーク在住アーティスト>
篠原有司男・澤野水纓・窪田啓子・Chié Shimizu・大橋篤司・原田隆志・大島真由美・
高嶋リカ

THE BRICKS
A Nexus for Arts and Music
<お問い合わせ>
thebricksnyc@gmail.com
【関連リンク】
https://www.thebricks.nyc

 

Profile

著者プロフィール
ベイリー弘恵

NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。

NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com

ブログ:NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

Ranking

アクセスランキング

Twitter

ツイッター

Facebook

フェイスブック

Topics

お知らせ