NYで生きる!ワーキングマザーの視点
ブロードウェイで安野モヨコさん原作『鼻下長紳士回顧録』がミュージカル化!プロデューサーのアシスタント安藤優
NYを拠点として舞台のプロデューサー業を中心に、様々なプロダクションでアシスタント・ステージマネジャーやハウスマネジャーを務めている安藤優(あんどうゆう)。NYの舞台を目指してやってくるダンサーや役者は多いが、彼女がなぜマネージメントになろうと思ったのか気になるが、まずは現在の舞台のお仕事からお話をうかがった。
──2022年の秋頃、ミュージカル、ジーザス・クライスト・スーパースターのツアーにサブアシスタント・ステージ・マネージャーを務めたそうですが、今はどんなお仕事をしているのですか?
総合プロデューサーを瀧内泉(たきうちいずみ)さんが務める、安野モヨコさん原作の『鼻下長紳士回顧録』をミュージカルで上演する予定です。今回、予算の計画などから同ミュージカルに関わっていてプロデューサーのアシスタントをしています。
安野モヨコ原作の「鼻下長紳士回顧録」をN.Y.ブロードウェイでミュージカル化演出・振付はトニー賞振付賞を受賞したロブ・アシュフォード→舞台情報専門SPICER
物語は、1900年代初頭のパリが舞台。娼館で働く若い女性が、明日をも見えない日々に悩みながらも自分を発見し、作家になって自立していく、女性が個人として、 社会集団として自律的な力をつけて発揮する姿【 Women's Empowerment 】を描いた作品です。
トニー賞をとった人たちが、制作に関わっているすごく面白いプロジェクトです。これまでにブロードウェイで日本人のプロデューサーの方はいましたが、日本のコンテンツを原作にして作っている方は少ないかと思います。
来年の頭にリーディング(俳優を何人か選んで脚本を読んでもらう。)を行う予定です。出演者は、ダイバース(人種を多様に)になると思いますが、それは演出家と作曲家と脚本家が決めます。
──日本の漫画がミュージカルになるなんて楽しみです!優さんは、いつごろからアメリカの舞台に興味をもつようになったのですか?
小さい時から、劇団四季のミュージカルを観て育ちました。2歳のときに初めて観たのは『美女と野獣』です。中学生になる頃には、自分から「四季の会の会員(劇団四季の公演情報を入手できたり、チケット優待などがあるらしい)」になるくらいでした。
NHKやWOWOWでのトニー賞の放映を小学5年生から観始めたこともあって、アメリカは新しいミュージカルをつくっていて、面白いなーって思ったのです。
子供のころは、出演者になりたいと思っていたのですが。高校3年生のときにアメリカのコロラド州に留学したことがあって、そこで演劇のクラスをとりました。演技をしているときに、恥ずかしくて、ちょっと自分には向いていないって思いました。自分はやはり観ているほうがいいんだなって。
それでも舞台は好きだったので、アメリカのミュージカルを学んでいくうち、予算の規模とかが、ものすごいと思い始めました。それが、どういう風に成り立っているのかを知りたい、マネージメント側になってミュージカルを作ってみたいと思うようになりました。
──これまでに優さんの携わる舞台を、ご両親が観に来たことはありますか?
父はお休みがとれなくて、母がボストンまで観に来てくれたことがあります。エイント・トゥー・プラウド(Ain't Too Proud)というテンプテーションズ(ソウル・コーラス・グループ)のミュージカルがあって、以前プロダクションアシスタントをしていました。
ブロードウェイ版の同作品を手掛けたクリエイターが直接関わっていて、ナショナル・ツアーをやっている作品の中で、それが一番大きい作品のひとつだったので、ぜひ母にも観てほしいって思っていました。
その関係から、今回のジーザス・クライスト・スーパースターのツアーも、同じツアー会社がやっているため、サブアシスタント・ステージ・マネージャーを頼まれました。舞台のお仕事は、一回コネクションができると、そこから他のプロダクションの仕事のオファーが来たりします。気が抜けないですが、次も仕事がくるように頑張っています。
──そもそもどうやって最初に舞台関係者へのコネクションにこぎつけたのですか?
履歴書を、ブロードウェイのアラジンのバック・ステージに持っていって、20年以上ブロードウェイで活躍されているプロダクション・ステージ・マネージャーに渡してくださいとお願いしました。お声がけいただいて、後付きを1回やって、お話させてもらってから、ちょこちょこお仕事の機会があると声をかけてくれるようになりました。
──さすがのチャレンジ精神ですね!これからの目標はどんなことですか?
今のプロデューサーのアシストをしている作品を、ブロードウェイで上演を成功させるというのがまずはゴールです。学生時代にはオフブロードウェイの舞台の無休のインターンから始めて、ここ1年半くらいでようやくいろいろな仕事につないでいくことができているので、このまま継続していけるといいですね。今後さらにマネージメントの経験を重ねて、将来的にはリード・プロデューサーになりたいです。
【プロフィール】
安藤優(あんどうゆう)
2012年に高校時代にコロラドへ留学。NYのコミュニティーカレッジから編入後、Pace Universityのビジネススクールを卒業。その後フロリダ州ウォルトディズニーワールドで働いたのちニューヨークに戻り、2022年の5月にNYU(New York University)でPerforming Arts Administrationの修士号を取得した。
近年はプロデューサー業を中心に、様々なプロダクションでアシスタント・ステージマネジャーやハウスマネジャーを務めている。
著者プロフィール
- ベイリー弘恵
NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。
NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com