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NYで生きる!ワーキングマザーの視点

ベイリー弘恵|アメリカ

アジア系出演者の少ないブロードウェイで、Funny Girlのダンサーに岩井麻純が出演中

©Masumi Iwai

ブロードウェイのFunny Girlは、ニューヨーク、ブルックリン出身の喜劇女優ファニー・ブライス(1891 - 1951)の半自伝的ミュージカル。そのオン・ブロードウェイのミュージカルに日本人の女優でダンサーの岩井麻純(いわいますみ)が出演中という噂を聞きつけて、取材をお願いした。

──Funny Girlのオーディションを受けたきかっけを教えてください

日本で大阪芸術大学舞台芸術学科を卒業し、ミュージカル女優になりたかったので、ダンスや演劇を学びました。出演中のブロードウェイのミュージカルFunny Girlは、1964年から67年にブロードウェイで上演され、今回もブロードウェイで初めてのリバイバルで、今年の4月から公演が始まりました。

外国から来てコネクションもアメリカで舞台の経歴もないところから始めているため、ミュージカルでダンサー募集のオーディションがあれば、可能なかぎり受けて来ました手応えを感じ始めたのは「王様と私(2018年~2019年)」全米ツアーへの出演オファーが来た時です。

そのあともFLY(新作ミュージカル2020年~)ダンサーとして参加していましたが、パンデミックになったため上演がストップしてしましました。

──共演者とはどんな話をしてるのですか?舞台裏って、よく映画やドラマであるみたいに、ライバルがバチバチに衝突みたいなのってあるのでしょうか。

バチバチなんて事は全くなくて毎日とても楽しくお仕事をしています。その日の出来事、家族のストーリー、おすすめのレストランなどいろいろな話をします。私自身、せっかくニューヨークに来ているからという理由と、仕事をしていく上でも、人とのつながりが大事な世界なので、できるだけアメリカ人のコミュニティーで生きようと敢えて努めています。むしろ言葉のを理由に小さくなってしまわないように心がけています

キャストの人たちも英語は私にとって第二言語なのだと知ったうえで、キャラクターを理解してくれて、優しく接してくれます。

4年前初めてアメリカで仕事をしたときには、アメリカ人ばかりの中で過ごさなければならなかったので、英語へのコンプレックスと自分の知らないことが多くて心細かったのです。これじゃあダメだって、自分のほうから話しかけて、アメリカ人の話し方を学んだりしてコミュニケーションをとろうと思うようになりました。

たとえば子供のころに見ていたテレビ番組や音楽について、彼らが懐かしいと思うものも私は日本で育っていたため知らないので、内容や歌詞を教えてもらったりします。あとカルチャーショックなことがあれば、それを話したり。

──世界からブロードウェイを目指してくる役者さんやダンサーさんたちは多いと思うのですが、アジア系は珍しいですよね?

ブロードウェイのステージに立つ人たちは、ほとんどの方がアメリカ人です。やはりミュージカルの本場ブロードウェイなので、世界からブロードウェイを夢見てくるアーティストも多いのですが、ブロードウェイ出演となるのは、とても大変で、私はとてもラッキーでした。なので尚更こそ贅沢な機会を与えられていることに感謝の気持ちを忘れないで、これからも精進していきたいです。

Actor's Equity Association(AEA)というユニオンに私も入っているのですが、アメリカ人以外の人たちにも平等に機会が与えられるようにと少しずつ改善もされてきています。

アジア系のお客さんから、「Thank you for representing asian community、あなたの存在に勇気づけられました。 」と声をかけられたときは、うれしかったです。

──Funny Girlのミュージカルがロングランになってきて楽しいことや大変なことはありますか?

ミュージカルに出演することを目指してニューヨークへ来たので、毎日の舞台は夢のようですし、キャスト同士もスタッフの人とも仲がいい素敵な職場なので楽しいことばかりです。ただ毎日同じことを演じていることと、夜が遅いので疲れてくることもあり、体調管理は大変です。

そのため、初めて演じたときのことを忘れず、だらけてこないよう心がけています。演じる側はやはりロングランになるとどうしても「毎日の仕事」となりがちですが、観に来てくださるお客さんは、遠方からわざわざ公演を観るためにきてくれたり、家族でのスペシャルなイベントごとであったり、公演を観るためにドレスアップしてくれたり、彼らにとって特別な一夜だということを毎回毎回意識して舞台にあがります。夢を売る仕事というやつですね。

同じダンスや動きをことするからこそ、ケガをすることもあるので気をつけています。たとえば、右肩より左肩の動きのほうが多いとか、毎日同じ動きをしているからこそ、どこかに負担がでてきます。なのでパフォーマンス意外にクラスで体づくりをする事はもちろんですし、寝る前のストレッチ、マッサージなどは欠かせません。

──そうした毎日のショー以外にも、営業活動や、取材に応える時間もとらないとならないから大変そうですね。

先日、グッドモーニングアメリカ(1975年から続いているABCテレビ放送の番組)でパフォーマンスがあったのですが、夜の公演が終わって、次の日は朝の4時半起きで5時15分集合でした。それでも初めてやることなので、楽しんでやっています。忙しいときと、そうでないときは、日によって違います。


実際のGood Morning Americaの放送 

──ショーの最中にダンサーさんたちも衣装を何度も着がえてましたが、裏では誰かが手伝ってくれるのですか?

はいドレッサーさんがいます。女性8人のダンサーに2人のドレッサーさんがついていて、衣装をかえてくれます。ウイッグも担当の方がつけてくれます。

──素敵な衣装でしたよね。蝶の衣装が一瞬だけ出てきたけど、華やかで美しく特徴的なデザインでした。 (残念ながら、この衣装で麻純さんは登場してません・・・)

衣装のデザイナーはスーザン・ヒルファティ、WICKED(ブロードウェイのショーで、オズの魔法使いの裏話的な内容でもあり幻想的な世界。トニー賞で2004年ミュージカル衣装デザイン賞受賞) のデザインも手がけた方です。40年代のブルックリンは下町の雰囲気がでていて、タップナンバーや、ファニーやダンサーのステージ衣装は、対照的にきらびやかな世界ですが、どちらの衣装も素晴らしいですよね。

後編では、ブロードウェイのステージでアドリブはあるのか?など、秘密にせまります!

Iwai2.jpg
©Shai Yammanee

【プロフィール】
岩井麻純(いわいますみ)
愛知県名古屋市出身。2015年大阪芸術大学ミュージカルコース卒業後単身渡米。
2018-19年「王様と私(リンカンセンターオリジナルプロダクション演出)」全米ツアー出演。
2020年 新作ミュージカル「FLY」(La Jolla Playhouse)ジェフリー・セラー演出、アンディー・ブランケンビューラー振付
2022年 Funny Girlにてアジア人唯一のキャストメンバーとして念願のブロードウェイデビュー

【関連URL】
岩井麻純公式インスタグラム
Funny Girlオフィシャルサイト

 

Profile

著者プロフィール
ベイリー弘恵

NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。

NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com

ブログ:NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

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