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NYで生きる!ワーキングマザーの視点

ベイリー弘恵|アメリカ

ミュージカルCatsピアニスト松浦麻未がシングルリリース

©Mami Matsuura オリジナル曲のシングルリリース 11/7/2022

前回に続いて、ミュージカルCatsのピアノ演奏者として全米ツアーを続けている松浦麻未(まつうらまみ)にお話をうかがった。

──今回のショーへの出演が決まったのは、オーディションに受かったということですよね。

はい、友人がFacebookの投稿にオーディション情報があると教えてくれて、応募しました。2回に分けて課題曲の楽譜が送られてきて、それぞれ演奏を録画して提出しました。そして最後に面接がありました。課題曲は、送られてきてから約3日後に提出するようにと言われました。

難しい曲でしたが、期間が短かったので出来る限り練習しました。一日予定がない日は15時間くらい練習していました。このようなオーディションは滅多にないので、気合を入れて臨みました。

──難しい曲を送って、短い期間ということでもプレッシャーを与えて、弾くことのできる技術はもちろん、根性も試されてる感じですよね。ツアーだって大変でしょうから。

そうかもしれませんね。ツアーの公演は、基本的に月曜日が移動日で、火曜日から金曜日は、夜公演だけ。土曜日と日曜日には昼と夜の2公演を行います。1週間に2〜3都市回る週もあります。

──観客のノリは地域によって違いますか?

地域によってノリは違います。1、2回しか公演を行わない都市は、みんな楽しみにして来てくださるので、盛り上がることが多いです。ニュージャージー州での公演は、ニューヨークからも沢山お客さんが来てくださっていたようで、とても盛り上がっていました。

──どんなお客さんが来ているのですか?

お子さんももちろん来ていますし、キャッツのファンの人も観に来ています。出演者と間違えるくらいクオリティーの高い猫の全身タイツを着ているファンもたまに見かけます。

──海外公演もあるのですか?

今回キャッツのツアーでは、アメリカの他にカナダとメキシコへ行く予定です。いつかツアーで日本に行けたら嬉しいです。

──キャッツの曲は、好きですか?

はい、実は子どもの頃に少しミュージカルスクールへ通っていたことがあって、その時に発表会でキャッツの歌を何曲か歌いました。その頃にキャッツのCDを何度も聴いていたので、思い出深いミュージカルの一つです。

劇団四季のキャッツも何度か観に行きました。なので、今回キャッツのツアーが決まって嬉しかったです。キャッツの曲はピアノが目立つ曲も多いので、毎日演奏するのは大変ですが弾き応えがあります。ちなみにオペラ座の怪人もキャッツもアンドリュー・ロイド・ウェバーが作曲しています。

──麻未さんも作曲をされるのですか?

今年の11月7日に初めて、オリジナル曲のシングルをリリースします。バークリー音楽大学へ行ってからジャズを始めたのですが、いつか自分の曲をリリースしたいと思っていました。編成はピアノ、ベース、ドラムでジャズの曲です。

この曲はバークリー在学中に作った曲なのですが、ツアー中にアレンジを加えて、リモートで録音しました。メキシコ在住のフカザワテツヤさん が、とても素敵なアートワークを描いてくださいました。

──麻未さんは、歌手のために歌いやすい演奏をすると以前お話されていたことがあるのですが。今はどのように意識して演奏しているのでしょうか。

とにかく歌い手の呼吸に合わせて弾くようにしています。呼吸に合わせつつもテンポキープをしたり、後半に向かって歌と一緒に盛り上げていけるように心掛けています。基本的なことなのですが、最近はそれが何より大事なんだなと感じています。

ミュージカルの歌の伴奏をするときは、譜面を見ながらサウンドトラックを聴いて、聴こえてくる音を付け足したり、譜面をアレンジすることもよくあります。

ブロードウェイの指揮者として活躍していたバークリーの教授がアップライトピアノでミュージカルの曲を弾いたとき、本物のオーケストラのような音がして感動しました。いつかその教授のような音が出せたら良いなと思っています。

ショーの間は指揮者に合わせて演奏するのですが、それでもヘッドホン越しに聴こえる役者の歌声もよく聴くようにしています。ショーの間に使うヘッドホンの音のバランスを設定するとき、もちろん自分の音とリズムセクションの音はしっかりと聴こえるように設定しますが、

私はそれぞれの楽器とボーカルが全て聴こえるように設定しています。好みの音のバランスが人によって結構違うので、面白いです。


このYoutubeでは麻未さんが演奏しています

──キーボードでピアノの音を出してるというお話でしたが、キーボードは会社が準備してくれるのでしょうか?

キーボードは会社が準備してくれます。Kurzweilのいう会社のキーボードを使ってます。Mach Fiveというソフトにショーで使う音がプログラムされていて、演奏中は150回以上ペダルを踏んで音を変えています。同じピアノの音でも、シーンによって若干違った音色の音がプログラムされています。

──150回以上も変えてるんですね。しっかり練習していないと、間違えたりしそうですね。

普段はショーが始まる1時間半前くらいから劇場に入って、疲れない程度に練習しています。指揮者の人の楽屋にはボーカルコーチ用のキーボードが1台置いてあるので、そのキーボードを日中に借りて練習することもあります。

キャッツの曲は、クラシックやジャズ、ロックなど色々な音楽の要素が詰まっているので、ショーで演奏する曲以外にも、色んなジャンルの曲を見つけて練習しています。

──アメリカの地方へ行くと、アジア系が少ないから珍しがられませんか?

私もツアーが始まる前は珍しがられるかなと思ったのですが、今のところ特に珍しがられることは無いような気がします。移動はいつも団体で行っていますし、普段もメンバーと一緒にいることが多いからかもしれません。ごく稀に「日本人?」と聞かれて、少し日本語で話しかけられることがあります。

──ツアーの演奏を代わってくれる人がいないから、休めないでしょうし体調管理も大変そうですね。

ミュージシャンは、サブの人が一緒にツアーに回っている訳ではないので、どうしても休まないといけない場合は前もって代わりに演奏してくれる人を探さないといけません。ジムに通ったりもしていますが、まずは睡眠をしっかり取るようにしています。

──今後の目標は?

これからもツアーの仕事ができたら嬉しいですが、いつかブロードウェイで演奏できたらいいなと思っています。

【プロフィール】
松浦 麻未/Mami Matsuura
ピアニスト。神奈川県横浜市出身。5歳よりピアノを始める。桐朋学園大学音楽学部を卒業後、奨学金を獲得し米ボストン・バークリー音楽大学に入学。在学中Jazz Performance Awardを受賞。2019年に同大学を卒業後、ニューヨークを拠点とし、主にミュージカルのピアニスト・リハーサルピアニストやミュージックディレクターとして活動している。現在、CATSミュージカルツアーの演奏を担当し、全米ツアーを行っている。

Mami Matsuura -Official Website

【関連URL】
CATSミュージカルUSツアー

 

Profile

著者プロフィール
ベイリー弘恵

NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。

NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com

ブログ:NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

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