コラム

民主党にとって最悪のシナリオになりつつある予備選

2020年02月27日(木)20時00分

こういった状況のなか、長年の民主党員が最も恐れているのが党の亀裂だ。

2016年の予備選でのクリントン支持者とサンダース支持者の間の亀裂は、最終的にトランプ大統領誕生に繋がった。2019年前半のニューハンプシャー州の取材で古くからの民主党員が口をそろえて語ったのが「2016年の失敗を繰り返したくない」ということだった。そして「誰が指名候補になってもその人に票を投じる」と。

しかし、2020年になってから、民主党内の亀裂は大きくなっている。ロシアと共和党がサンダースを援助するのは、この亀裂をさらに大きくして民主党そのものを弱めることを狙っていると見られている。

ブティジェッジやウォーレンなど他の候補はこれを熟知しており、ディベートでも有権者に党を分裂させることの恐ろしい影響に警鐘を鳴らしている。だが、有権者がその深刻さを自覚しない限り、2020年の選挙は「サンダース民主党候補」「トランプ再選」「上院と下院両方で共和党が多数党」という民主党にとって最悪のシナリオになる可能性が高い。

プロフィール

渡辺由佳里

Yukari Watanabe <Twitter Address https://twitter.com/YukariWatanabe
アメリカ・ボストン在住のエッセイスト、翻訳家。兵庫県生まれ。外資系企業勤務などを経て95年にアメリカに移住。2001年に小説『ノーティアーズ』(新潮社)で小説新潮長篇新人賞受賞。近著に『ベストセラーで読み解く現代アメリカ』(亜紀書房)、『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社)などがある。翻訳には、レベッカ・ソルニット『それを、真の名で呼ぶならば』(岩波書店)、『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社、日経ビジネス人文庫)、マリア・V スナイダー『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)がある。

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