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トランプ政権下でベストセラーになるディストピア小説
もともとは軍事史の論文だとしても、一般人にも読みやすい歴史ノンフィクションだ。これを読むと、アメリカ大統領と側近が、憲法や国民を無視した政治的決断をすることの壊滅的な影響を再認識できる。
憲法と国民への責任よりも大統領への忠誠心を優先したJCSに対して批判的な意見を持つマクマスターには、共和党員だけでなく、民主党員も期待をかけている。自分に批判的なメディアをすべて「偽ニュース」と決めつけてホワイトハウスの記者会見から締め出す独裁的なトランプ大統領に対して、「国民への責任」を優先する勇敢な助言をしてくれることを願っているのだ。
期待に応えるかのように、マクマスターは、就任後初めてのスタッフミーティングで「テロ行為を行うイスラム教徒に対して『イスラム過激派によるテロリズム(radical Islamic terrorism)』というレッテルを貼るのは役に立たない。なぜなら、彼らはイスラム教徒らしくない行為をしているからだ」といった内容を語り、オバマ前大統領がISISなどのテロリストを「イスラム過激派」と呼ばないことを非難してきたトランプ大統領とは異なる見解を公にした。
【参考記事】迷走人事が浮き彫りにしたホワイトハウスの権力者バノン
問題は、トランプ大統領がスティーブ・バノン首席戦略官など側近の意見を退けて、マクマスターの意見に耳を傾けるかどうかだ。
トランプは、全米で2004年に始まった『アプレンティス』というテレビ番組で全米のスターになった。参加者が「見習い(アプレンティス)」としてトランプの会社での採用を競うもので、課題に取り組んだ参加者が番組の最後に重役室に呼び出される。そのうちの一人にトランプが「You are fired(お前はクビだ)」と言い渡すのが印象的で、流行語にもなった。
マクマスターが自分の本に書いた信念を貫くことだけでなく、トランプ大統領が自分への忠誠心を優先しない補佐官に対して番組の通りのセリフ「You are fired」と言い渡さないことを願うばかりだ。
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