コラム

フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治状況に比べれば、日本のほうがまし?

2025年01月17日(金)16時38分
西村カリン(ジャーナリスト)

なぜこんな状況になったかというと、理由がないまま昨年6月に解散総選挙を勝手に決めたエマニュエル・マクロン大統領の誤った判断が原因だ。マクロン本人が2027年春の任期満了を待たず、本年中に辞任するのではないかとの議論もある。

韓国では尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が戒厳令を出し、極めて不安定な状況になっている。ドイツではオラフ・ショルツ首相の信任投票が議会で否決され、総選挙が前倒しされる。カナダでは突然、ジャスティン・トルドー首相が辞任を表明。イギリスでも大規模な児童性的虐待の問題で、与党の基盤が揺らいでいる。


欧州を中心に先進国の政治は深刻な危機に陥っているが、経済も危険な状況だ。フランスは25年(1~12月)の予算が決まっていない。借金が増え続けているので節約しなければならず、増税は避けられない。それに比べたら、日本も借金は大きいが日銀や銀行などが国債を購入しており、フランスより財政危機のリスクが低い。

EUの最大の柱といわれるフランスとドイツが政治的混乱に陥ったのは、国民の支持や議会の多数派を背景に、強い権力を持ったドナルド・トランプが再びアメリカ大統領になるタイミングだった。弱いEUは、彼からすると最高の状況だ。だからトランプは堂々ととんでもない発言をする。

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