中国人と台湾人は、友人になれる
もしも台湾に同情しているとしたら、それは少し違う
ここで改めて説明するまでもないが、日本人の多くは台湾に親近感を抱き「台湾をいじめる」中国を嫌っている。私としては寂しさもあるが、そうした評価も仕方がないと思う。
ただ、私自身は台湾人との間にわだかまりなどないが、もしも日本人に台湾に同情する気持ちがあるとしたら、それは少し違うと思う。彼らは日本人が考えるより冷静で現実的、したたかでたくましい。
例えば中国政府は、統一に向けた土壌をつくる思惑から台湾の農作物を優遇する政策を続けているが、台湾の農家は日本に高品質の農産物を輸出する一方、中国には低品質の物も輸出している。
昨年、「害虫被害を防ぐ」という名目で中国が台湾産パイナップルを突然禁輸してニュースになったが、おそらくは政治的意図だけが理由ではなく、実際に品質に問題があったのだろう。
そんな台湾人たちは、中台問題は「現状維持がベスト」と考えている向きがある。大学を卒業して貿易会社を起こし、中国から日本に100均商品を輸入している例の日本語学校の先輩もその1人だ。
蔡英文(ツァイ・インウェン)総統も、ペロシ議長に来るなとは言えないから歓迎はするが、対中批判を抑えている。いま騒いでいるのはアメリカと中国だけだ。
だから日本人も、台湾に同情したりするより冷静に見守るのがいいだろう。私自身も、武力での統一は今のところ起こり得ず、現状維持がベストと思っています。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「周来友の人生相談バカ一代」)としても活動。

アマゾンに飛びます
2025年4月15日号(4月8日発売)は「トランプ関税大戦争」特集。同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか?
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
12万人が関与、起源は台湾...中国「詐欺組織」が東南アジアで巨大化した理由 2025.04.03
生成AIで記事も動画も作れる今の時代に、記者としてすごく悩んでいること 2025.03.29
日本では起こりえなかった「交渉の決裂」...言葉に宿る責任感とは? 2025.03.21
韓国大統領の弾劾裁判騒動に思う、「大統領降ろし」という当然の権利 2025.03.08
日本の大学「中国人急増」の、日本人が知らない深刻な問題 2025.02.26
三島、川端、大江、谷崎だけじゃない......若い世代の日本文学がフランスで愛される理由 2025.02.19