日本人が見過ごす「博物館」という財産を見直し、苦しむ地方の施設を救おう
新たな機会づくりに励むという手もある。欧州を中心に120以上の都市で「博物館の長い夜」などと呼ばれる催しが年に1回は開催されており、参考になるかもしれない。この催しでは多くの博物館・美術館が開館時間を夜まで延長し、共通の一日入場券を安く販売する。筆者が住んでいたベルリンでは、一日入場券で街中の交通機関が乗り放題だった。非常に盛んで、その日は深夜まで街が博物館の観光者であふれ返る。
日本で「博物館の長い夜」を開催しようと思えば、欧州にない「武器」が使える。それはスタンプラリーだ。ちょっと子供っぽい側面があるけれど、日本人はみんな子供時代から経験している。これを一日入場券に付けることで、複数の施設を回る楽しさが倍増するのでは? 筆者ならその機会に、普段なら行かない忍者や漫画、ラーメンなどをテーマとした施設も回ってみたい。社会的な関わりに注目しながら。
人生を豊かにしてくれる文化施設がこれだけ沢山ある日本。「ミューズ」と出会うために近くの博物館に行こう。......デッサンしている人がいるときは「シーッ」。
トニー・ラズロ
TONY LÁSZLÓ
1960年、米ニュージャージー州生まれ。1985年から日本を拠点にジャーナリスト、講師として活動。コミックエッセー『ダーリンは外国人』(小栗左多里&トニー・ラズロ)の主人公。

アマゾンに飛びます
2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
三島、川端、大江、谷崎だけじゃない......若い世代の日本文学がフランスで愛される理由 2025.02.19
「決められたこと」しかできない日本の介護は、もっと自由でいい 2025.01.31
外国人観光客を地方へ!...の前に、地方にいま必要なこと【脱オーバーツーリズム】 2025.01.25
フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治状況に比べれば、日本のほうがまし? 2025.01.17
「とても残念」な日本...クリスマスツリーに「星」を飾らないのは異文化への無理解だ 2024.12.25