コラム

日本人が見過ごす「博物館」という財産を見直し、苦しむ地方の施設を救おう

2022年02月03日(木)18時58分
トニー・ラズロ

新たな機会づくりに励むという手もある。欧州を中心に120以上の都市で「博物館の長い夜」などと呼ばれる催しが年に1回は開催されており、参考になるかもしれない。この催しでは多くの博物館・美術館が開館時間を夜まで延長し、共通の一日入場券を安く販売する。筆者が住んでいたベルリンでは、一日入場券で街中の交通機関が乗り放題だった。非常に盛んで、その日は深夜まで街が博物館の観光者であふれ返る。

日本で「博物館の長い夜」を開催しようと思えば、欧州にない「武器」が使える。それはスタンプラリーだ。ちょっと子供っぽい側面があるけれど、日本人はみんな子供時代から経験している。これを一日入場券に付けることで、複数の施設を回る楽しさが倍増するのでは? 筆者ならその機会に、普段なら行かない忍者や漫画、ラーメンなどをテーマとした施設も回ってみたい。社会的な関わりに注目しながら。

人生を豊かにしてくれる文化施設がこれだけ沢山ある日本。「ミューズ」と出会うために近くの博物館に行こう。......デッサンしている人がいるときは「シーッ」。

NW_Tony_Laszlo.jpgトニー・ラズロ
TONY LÁSZLÓ
1960年、米ニュージャージー州生まれ。1985年から日本を拠点にジャーナリスト、講師として活動。コミックエッセー『ダーリンは外国人』(小栗左多里&トニー・ラズロ)の主人公。

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