コラム

日本人がコミュニケーション下手なのは、「技術信仰」が原因か

2022年01月21日(金)09時50分
西村カリン

日本人は、社会の問題を技術で解決しようと考えがちなのではないか。第2次大戦後、日本は新しい技術と新しい産業のおかげで急速に復興したから、技術で何でも解決できると思うようになったのかもしれない。それに対して哲学や議論が好きなフランス人は、社会問題をまず人間の力で解決しようとする。

もちろん、いつでもどこでも誰にでも連絡が取れるのは便利なことだ。パンデミックの中でも、携帯電話やパソコンを使ってテレワークができれば経済への影響は小さくなる。

けれど問題もある。私は最近、Zoom(ズーム)と対面のインタビューの大きな違いに気付いた。Zoomだとインタビューの時間とZoomの使用時間はほぼ同じ。対面だと、インタビューの時間と相手と一緒にいる時間は異なる。名刺交換、ICレコーダーなど機材の設置と片付け、終了後にエレベーターまで同行するといったことがあるからだ。

Zoomにはない、そうした時間は非常に大事だ。なぜなら相手と雑談するから。雑談でいろいろな情報を交換し、関係をつくる。それは本物の、かつ人間の自然なコミュニケーションだ。

magTokyoEye_Nishimura.jpg西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。

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