「ダイバーシティ」が上滑りする日本よ、真の多様性を実現しよう!

日本では「多様性への理解」という言葉のインパクトばかりが先行している Mathew Childs-REUTERS
<イランから来日し、日本で働いてきたが「君は日本人じゃないから分からないし、分からなくていい」ともよく言われた。せっかく海外からお客様がたくさん来る機会。日本人の皆さん、今こそ真のダイバーシティを実現しよう>
ラグビーワールドカップの盛り上がりは記憶に新しい。日本各地が海外からのラグビーファンでにぎわっていた。来年は東京オリンピックがある。今年以上に海外からのお客様で日本中がごった返すだろう。
さて、そんな国際色豊かになる日本で、今回はダイバーシティについて考えたい。とてもはやっているこの言葉を、皆さんはどのように捉えているだろう? LGBTQ(同性愛者などの性的少数者)への理解、女性活躍推進といった文脈で使われることが多く、「多様性への理解」とほとんどの方は答えるのではないか。
辞書やネットで検索すると、多様な人材をマネジメントする方法、なんていう定義もある。言葉の定義は、ビジネスでも教育でも、もちろん生活においてもとても重要。でも日本では、言葉のインパクトばかりが先行している。
告白すると、来日前の私は日本をとても国際的な国だと思っていた。世界で評価されている日本製品の素晴らしいイメージから、開かれて国際的な日本を勝手に期待し、疑いすらしなかった。でも来日後、その期待は失望に変わる。イランの国営放送で制作に関わり俳優もやっていた私は、まずメディア関連の職をいろいろと探した。日本は日本語しか通じないので職探しは難航。やっと見つかっても「採用は日本人的なルックスが限定」で、ショックを受けた。
次に、世界に誇る高い技術を持つ日本の物づくりに関わりたかった私は、日本のメーカーに就職することにした。ところが、俳優業を続けられなかった以上にショックなことが起きた。
「業務割り当てもガイダンスもなく黙って机で待機」「業務がなくても、早く来て遅く帰ることを強要されることで無駄に長い就業時間」「育児休暇どころか有給休暇も使えない。休暇には申請書が必要で、しかも上司の承認が必要」「会議には強制参加だが、発言・意見できない」「意見できず、判断をさせてもらえないのに、業績不振の責任を取らされて給料を全社員一律カット」......。
どれも私にとっては全く納得がいかないものだった。説明してくれる人すらおらず、閉鎖的な「村社会」にポツンと取り残され、息苦しさと諦めに沈み込んだ。
韓国大統領の弾劾裁判騒動に思う、「大統領降ろし」という当然の権利 2025.03.08
日本の大学「中国人急増」の、日本人が知らない深刻な問題 2025.02.26
三島、川端、大江、谷崎だけじゃない......若い世代の日本文学がフランスで愛される理由 2025.02.19
「決められたこと」しかできない日本の介護は、もっと自由でいい 2025.01.31
外国人観光客を地方へ!...の前に、地方にいま必要なこと【脱オーバーツーリズム】 2025.01.25
フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治状況に比べれば、日本のほうがまし? 2025.01.17