AP通信、米トランプ政権が取材制限解除の連邦地裁命令に違反と非難

4月16日、トランプ米大統領によってホワイトハウスの代表取材から締め出されたAP通信の弁護団は、APへの取材制限を係争中に解除するように命じたワシントンの連邦地裁命令をトランプ氏の側近が無視していることを非難する声明を出した。ホワイトハウスの会見室前で先月26日撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
[ワシントン 16日 ロイター] - トランプ米大統領によってホワイトハウスの代表取材から締め出されたAP通信の弁護団は16日、APへの取材制限を係争中に解除するように命じた米首都ワシントンの連邦地裁命令をトランプ氏の側近が無視していることを非難する声明を出した。弁護団は裁判所に提出した書類で、APがトランプ氏とともに移動し、大統領執務室での行事に出席する代表取材からAPの記者を排除し続けていると申し立てた。
トランプ氏がメキシコ湾を「アメリカ湾」と呼ぶことを強要したことにAPが従わなかったとして、トランプ氏はAPを代表取材から締め出した。連邦地裁のマクファデン判事はAP側の主張を認めて取材制限の仮差し止め命令を出すとともに、トランプ政権が合衆国憲法に基づく言論の自由を侵害している可能性が高いと問題視した。
トランプ政権は判決を不服として連邦控訴裁判所に控訴しており、同裁判所で一審命令を差し止めるかどうかの口頭弁論が17日に予定されている。
ホワイトハウスは15日、代表取材での通信社の参加枠を廃止すると発表した。ロイターとブルームバーグを含めて参加枠に入ることが認められていたあらゆる通信社が締め出されることになる。
AP側は、通信社の参加枠廃止について命令に明らかに違反しており、APに対する一段の報復の口実に利用していると反発した。ロイターもトランプ政権の措置を非難する声明を発表した。
一方、ホワイトハウスはAPが大統領への特別なアクセスの権利を持っているわけではないと主張。ホワイトハウスの当局者は、参加枠の変更は「大統領のメッセージが対象となる読者らに確実に届くようにするとともに、イベントに応じて適切な専門知識を持つ報道機関が出席するようにするため」に必要とコメントしている。
ワシントンに取材拠点を持たない地方メディアを含めた報道機関は、米大統領の発言などで通信社のリアルタイムの報道に依存している。
APのウェブサイトによると、同社は1846年に設立され、100カ国弱の計250弱の拠点で取材活動を展開している。