「ダイバーシティ」が上滑りする日本よ、真の多様性を実現しよう!
アイデンティティーもよく否定された。容姿の違い、食習慣の違いだけでなく、前向きな改善策を発言すると、ご機嫌取りや点数取りとバカにされた。発言や改善策に対して上司から「君は日本人じゃないから分からないし、分からなくていい」と言われたこともよくあった。思ったことを発言しただけで、周囲から孤立する。しかし、彼らに個人的な恨みはない。なぜなら彼らに深刻な悪意はない――村社会では皆がやっていることだから。
私は外国人が日本で差別され、権利が不十分なので保証してほしい、と言いたいのではない。日本人(だけでなく人間全般)は、見た目や属性が近いグループが集まってマイノリティーを攻撃しやすい。その村社会の歴史や性質を踏まえ、乗り越えるために、日本人同士であっても、互いの違いを尊重することが、ダイバーシティの第一歩だと強く訴えたいのだ。
真のダイバーシティとは、他者との違いを認め、他者の権利を尊重するために、「国籍、人種、(性的指向を含む)性別の在り方などテーマを限らず、全てを包み込む社会」の実現に向けて挑戦し続けること。これには正解も終わりもない。
日本人の皆さん、せっかく海外の方がたくさんいらっしゃるこの機会に、他者を尊重する気持ちと、その気持ちが伝わるような丁寧なコミュニケーションでダイバーシティを実現しましょう。そして、日本人であることを強く世界に誇りましょう!
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン生まれ。2002年に留学のため来日。日本人女性と結婚し、2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。@IshinoShahran
<本誌2019年12月3日号掲載>
12月10日号(12月3日発売)は「仮想通貨ウォーズ」特集。ビットコイン、リブラ、デジタル人民元......三つ巴の覇権争いを制するのは誰か? 仮想通貨バブルの崩壊後その信用力や規制がどう変わったかを探り、経済の未来を決する頂上決戦の行方を占う。