「逃げられるうちに逃げろ...」騙されてロシア軍に入隊したインド人、仲間からの「悲痛なメッセージ」の意味とは?
ESCAPING THE RUSSIAN ARMY
ある日出撃命令を受けたパサンとアビシェクは、司令官に除隊させてほしいと懇願した。一方で、ネパール人たちは「選択を誤った」と、パサンは振り返る。
もともと非常に貧しい境遇にあったネパール人兵士にとって、敵地を占領したり施設を破壊したりすれば報奨金を出すという話は魅力的だった。
9月にパサンとアビシェクはブリャンスク州の兵舎に戻ったが、6人のネパール人は前線にとどまった。数日後その1人がパサンに電話をかけ、出撃で彼を含む4人が負傷し、残りの2人は死んだと伝えた。
ごった返すモスクワのドモジェドボ空港で、サルファラーズとターヒルとラマールを、ナイジェルという名のインド人の男が出迎えた。ナイジェルはカーンの仲間で、モスクワ市の中心部と空港を行き来して新入りの出稼ぎ労働者を迎えていた。
「逃げられるうちに逃げろ」
ナイジェルは3人を、市内にある自分の広々としたアパートに案内した。サルファラーズによれば、彼らはここで労働者を選別していたという。アパートにはネパール人やスリランカ人もいた。
3日後、サルファラーズらはモスクワの北東約400キロの位置にあるボルガ川沿いの町コストロマに連れて行かれ、軍の入隊センターでロシア語の書類を4枚渡された。英語を多少話せる将校がいたが詳しい説明はなく、カーンは労働許可証が欲しければ署名したほうがいいと促した。