開発費用たったの560万ドル...ディープシークの衝撃は「中国の逆襲」の始まりか

DeepSeek Shock Waves

2025年2月13日(木)16時02分
マイカ・マッカートニー、シェーン・クロウチャー、シオ・バーマン

newsweekjp20250213023849-600233052d02b9da25d22f5be12c5b661daebd28.jpg

ディープシーク社は40歳の梁(写真)をはじめ若い世代の少数精鋭とみられる VCGーREUTERS

ディープシークがR1の訓練に要した期間はたった2カ月で、そのために使った半導体の数は従来の常識を大幅に下回る。その結果、開発費用はわずか560万ドルに抑えられたという。

オープンAIが最新モデル「GPT-4」の開発に要した金額は約1億ドルと報じられている。

「欠点はあるが、中国は生成AI技術で、基本的にアメリカに追い付いた」と、ニューヨーク大学のゲリー・マーカス教授は語る。


ディープシークが主張する開発コストを疑問視する声もある。だが、ミシガン州立ウェイン大学でコンピューターシステム・深層学習研究所を率いるネビル・サルハン准教授は「この情報の信頼性を疑うべき理由はない」と語る。

「中国はこの分野の人材育成に重点的に投資してきた」と、サルハンは言う。

「トップクラスの研究誌や学会では、中国から莫大な数の研究成果が発表されている。それに中国企業はこれまでにも、米企業よりもはるかに低コストで競争力のある製品をつくってきた。米中の技術格差は年々大幅に縮小しており、一部の領域では中国のほうが上になり始めている」

ディープシークの主張が本当で、従来よりも安価な機器でAIシステムを構築・運用できるなら、業界全体に重大なインパクトを与えると、ノースウェスタン大学のクリスチャン・ハモンド教授は語る。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

3月コンビニ既存店売上高は前年比2.7%増、2カ月

ビジネス

中国から米ボーイング機返送、2機目がグアム着=飛行

ワールド

米政権、ハーバード大への圧力強化、助成金を追加凍結

ビジネス

午後3時のドルは140円後半、7カ月ぶり安値 リス
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボランティアが、職員たちにもたらした「学び」
  • 3
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投稿した写真が「嫌な予感しかしない」と話題
  • 4
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 5
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 8
    ロシア軍、「大規模部隊による攻撃」に戦術転換...数…
  • 9
    遺物「青いコーラン」から未解明の文字を発見...ペー…
  • 10
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 9
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中