開発費用たったの560万ドル...ディープシークの衝撃は「中国の逆襲」の始まりか
DeepSeek Shock Waves
「現在、エヌビディアの株価が非常に高いのは、その先端半導体がなければAIモデルは構築できないと考えられてきたからだ」と、ハモンドは指摘する。
「だがディープシークはもっと安価なマシンを使って、もっと少ない計算量と時間でAIモデルを構築できることを示した」
さらにハモンドは、アメリカでは「誰もが競って、もっと大規模な開発体制を整えようとしてきた」と語る。「そのためにもっとスマートで、もっと小規模にAIモデルを構築するチャンスを逃してしまった。
ディープシークによって、今後の開発トレンドは一気にそちらを向くだろう。いわば創造的破壊が進む」
バイデンの規制が裏目に
皮肉にも、ジョー・バイデン前米大統領のAI技術輸出規制が、中国にイノベーションを促した可能性もある。
バイデンはAI分野におけるアメリカのリードを維持するために、CHIPS・科学法に基づきアメリカでの半導体製造を拡大する一方、中国とロシアへの投資を取り締まった。
また、TSMC(台湾積体電路製造)が米アリゾナ州に建設する新工場に66億ドルの補助金を支給した。
だがディープシークは既に、エヌビディアの最先端半導体H100を1万個保有していて、このうち2000個を使って生成AIの開発に成功したとされる。チャットGPTなどアメリカの主要モデルが要した先端半導体は、1万6000個以上だ。