「宇宙支配」を狙う中国の「静かなる第一歩」がチリで始動、大量の「ミニ中国」を南米に作る真の目的は?

CHINA’S SPACE LEAP

2025年1月10日(金)13時33分
ディディ・キルステン・タトロウ(本誌米国版・国際問題担当)

中国が北欧諸国との共同プロジェクトを進める場所の1つが、北極圏に位置するスバールバル諸島だ。ここの島々は20世紀前半に成立した条約でノルウェー領となったが、条約加盟国はここを産業活動や極地観測に活用できる。ただし「戦争のような目的」の活動は禁止されている。

「情報は全て中国軍に伝える」

本誌の調査で、中国がスバールバル諸島の主要な島に開設した研究所は中国最大手の軍用エレクトロニクス複合企業の傘下にあり、条約に反して軍民両用研究を行っている疑いが浮上した。

【関連記事】「それが中国流のやり方だ」北極圏でひそかに進む「軍民両用」研究の実態...ロシアとの接近、核持ち込みの懸念も


中国は自国の北極圏での研究調査を「全人類に貢献する平和的な活動」と称しているが、欧米諸国の見方は違う。

「北極圏における中国の研究調査は戦略的・軍事的な目的に利用される可能性が高い」と、ノルウェーのトロムソ大学の政治学教授マーク・ランテーニュは言う。

「当然ながら情報は全て中国軍に伝えられる。それが中国政府の体質だ」

もちろん、自国の宇宙活動を支援するため地球規模のインフラ網を構築している国は中国だけではない。

「アメリカもその同盟国も宇宙開発の拠点を世界各地に築いている」と、コーネル大学の航空宇宙学の助教グレゴリー・ファルコは話す。「ただしアメリカは中国と違って、自国の活動を科学のベールで隠し、ホスト国の目を欺いたりはしない」

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軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

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