「宇宙支配」を狙う中国の「静かなる第一歩」がチリで始動、大量の「ミニ中国」を南米に作る真の目的は?

CHINA’S SPACE LEAP

2025年1月10日(金)13時33分
ディディ・キルステン・タトロウ(本誌米国版・国際問題担当)

中国の天文台建設予定地(チリ)

24年10月時点の天文台の建設予定地  DIDI KIRSTEN TATLOW

また、中国を本部とする「宇宙環境ガバナンスシステム」を構築する計画や、ロシアなどと進める国際月面研究ステーション(ILRS)計画、「宇宙法」を起草中のアジア太平洋宇宙協力機構(APSCO)などのプロジェクトも進んでいる。

アメリカで19年に設置された宇宙軍の幹部は、中国軍の宇宙開発はここ5〜6年間で急速に進歩したと語る。そして台湾有事など東アジアで紛争が発生した場合、米軍と同盟国の軍を危険にさらすレベルに達していると指摘する。


「彼らは、あらゆる軌道でわれわれの衛星を危険にさらす能力がある。ただ、中国の海岸線から遠く離れた場所で、中国はアメリカなどと戦いたいと考えている」と、宇宙軍で宇宙情報作戦を担当するグレゴリー・ギャグノン少将は語る。「だから習が権力を握って以来、これまでにないスピードで宇宙における軍事能力を強化してきたのだ」

さらにギャグノンは、「今や西太平洋におけるアメリカや友好国の軍事活動は、宇宙から中国に常時監視されている」と語る。このため中国は、はるか遠くの標的もミサイルで攻撃することができる。

中国はその宇宙開発が軍事目的だという非難を否定している。「中国は宇宙の平和利用を唱え、宇宙の兵器化と宇宙における軍拡競争に反対し、宇宙における人類共通の未来を持つコミュニティー構築を推進している」と、中国国防省の張暁剛(チャン・シアオカン)報道官は11月に語っている。

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軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

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