最新記事
中東情勢

イスラエル、ヒズボラと停戦でもガザでの合意は見通せず

2024年11月28日(木)21時08分

戦闘の切り離し

イスラエルと米国の両政府高官は、ハマスと同じくイランの支援を受けるヒズボラがガザ紛争から切り離されたことを評価した。

しかし、テルアビブ大のシンクタンク、国家安全保障研究所(INSS)のオーファー・シエラ上級研究員はロイターに対して、切り離しが結果としてガザでの戦闘終結を難しくするかもしれないと指摘。「ガザを巡ってイスラエルに現実的な圧力がかかることがなくなった」と語り、ハマスと和平協定を結ぶことはネタニヤフ氏の目的達成にはならないかもしれないと付け加えた。


 

ネタニヤフ政権は戦闘に前向きなタカ派で占められており、その中にはヒズボラとの停戦を非難し、ガザの占領を望んでいるメンバーもいるため「ガザでの戦争が終結すれば連立政権が脅かされるため、戦争継続はネタニヤフ氏にとって政治利益があると思う」との見解を示した。

人質となっているイスラエル人の家族も、ネタニヤフ氏がヒズボラとの停戦に合意したことに怒りをあらわにした。

ハマスは約1200人の犠牲者を出した23年10月のイスラエル南部への攻撃で拘束した人質の残りと引き換えに、イスラエルに捕らわれているパレスチナ人の解放を求めている。イスラエル軍のガザからの撤退も要求する一方、武装解除や解散の要求も真っ向から拒否している。

双方の立場の違いが鮮明な中で、イスラエルのディヒテル農相はハマスがガザで将来的に何らかの役割を果たすことは考えられないとし、イスラエル軍がガザから近いうちに撤退することもあり得ないと断言。 「われわれはガザに長く留まることになるだろう」と予想した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250311issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月11日号(3月4日発売)は「進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗」特集。ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニスト、29歳の「軌跡」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

仏英、1カ月のウクライナ部分停戦を提案とマクロン氏

ビジネス

アングル:米高関税対策でカナダ牛が減少加速、米で牛

ビジネス

ユーロ圏2月CPI速報、前年比+2.4%に鈍化 サ

ビジネス

英製造業PMI、2月改定値は46.9に低下 人員削
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Diaries』論争に欠けている「本当の問題」
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 5
    バンス副大統領の『ヒルビリー・エレジー』が禁書に…
  • 6
    米ウクライナ首脳会談「決裂」...米国内の反応 「ト…
  • 7
    世界最低の韓国の出生率が、過去9年間で初めて「上昇…
  • 8
    生地越しにバストトップがあらわ、股間に銃...マドン…
  • 9
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 3
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほうがいい」と断言する金融商品
  • 4
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 5
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 6
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 7
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 8
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教…
  • 9
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 10
    日本の大学「中国人急増」の、日本人が知らない深刻…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中