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荒川河畔の「原住民」⑩

「暴力を振るわれることもある」...「兄貴」が語ったホームレス福祉の現状とは?

2024年11月6日(水)18時55分
文・写真:趙海成

「福祉施設の人もホームレスと直接話をしたいときがあります。そのときは私を呼んで一緒に行きます。彼らは少し恐れているからです。なにしろ、ホームレスの中には元ヤクザの人もいますし、中には3つ、4つの前科を背負っている人もいます。しかし、彼らの過去がどうであれ、今トラブルを起こさない限り、警察は手を出しません。どうせそろそろ土に入る人たちなので、隠れ家で自滅することができたら万事順調ですよ」

このような罪がある人たちは、死ぬまで国の生活保護を申請することはしない。申請をすれば、自分の資料をたくさん提出し、審査を受けなければならないからだ。これは自分で網にかかったことに等しい。

だから施設への入所を勧めに来た人に対し、俺は集団生活を嫌っているなどといった理由を述べて断る。兄貴はその経緯をよく知っていて、彼らと話をしに行ったとき、敏感な話題には触れないようにしている。

「あなたは仕事の関係で、いろいろなホームレスと付き合ってきて、必要な助けを提供してきた。あなたに対する彼らの態度はよいでしょうね?」

「必ずしもそうではありません。私に対し、ののしったり、暴力を振るったりした人もいます。でも、このような人に会っても怖くありません。最初は2回殴られるかもしれませんが、その後は反撃して、すぐに相手を制圧します。もちろん彼らを傷つけないことが前提です。私は自衛隊の特殊部隊出身で、格闘技を学んだことがあるからね」と、兄貴は笑った。

それを聞いた私は、前に出て彼の腕を握って、彼の腕力を試してみたいと思った。やはり筋肉が引き締まっていて、爆発力があるように見える。

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