プーチンの恫喝「それが分からないのか!」...今年度の「核威嚇の本気度」をどう見積もるべきか

核戦力をちらつかせる強気のプーチン SERGEY GUNEEVーKREMLINーSPUTNIKーREUTERS
<年次教書演説でウクライナを支援する欧米諸国に核兵器の使用を警告したプーチン大統領。いつもどおりの「強気発言」と捉えるべきか、今回ばかりは違うのか>
ロシアのプーチン大統領は2月29日に年次教書演説を行い、NATOがウクライナに軍を派遣すれば核兵器を使用すると警告した。米欧に対するこれまでで最も露骨な威嚇で、「核兵器の使用と文明の滅亡を伴う紛争が起きる恐れがある。それが分からないのか」と、恫喝した。
プーチンの発言は、フランスのマクロン大統領がウクライナへの派兵の可能性に言及したことに対するものだ。プーチンは、ロシアがヨーロッパを攻撃するという観測を「ナンセンス」だと退けたが、外国軍が派兵されれば「悲劇的な結果」が起こると述べた。
フィナンシャル・タイムズ紙が2月28日に報じたロシアの機密文書によると、ロシアが戦術核兵器を使用する基準は公に認めてきたよりも低い。
敵が領土に侵入したり、戦略弾道ミサイル搭載潜水艦の20%が破壊された場合に核攻撃の開始を検討するとしている。プーチンは、ロシアの「戦略核戦力は臨戦態勢にある」とも述べている。