「持続可能な新しい価値」を生み出す、東京発のチャレンジ
自然の景観と先端テクノロジーが高度に融合した、近い将来の東京・ベイエリアをイメージしたビジュアル
<世界中の都市が、これまでの価値観や方法では克服できないさまざまな課題に直面する昨今。「環境」「防災」「金融」など世界共通の都市課題に対し、東京も最先端のテクノロジーやデジタルノウハウ、世代を超えて受け継がれてきた知見なども組み合わせながら挑んでいる。そのカギとなるのが「SusHi Tech Tokyo(スシテック東京)」というコンセプトだ>
Sustainable High City Tech Tokyoの頭文字から成る「SusHi Tech Tokyo」。職人の技術により、旬の素材をひとつの文化へと昇華させてきた"鮨"を再解釈したコンセプトだ。最先端のテクノロジーなどを通じて「持続可能な新しい価値」を生み出し、東京から世界へ発信していきたいという思いが込められている。
その思いを体現するための取組の一つが、2021年に都が発表した「東京ベイeSGプロジェクト」だ。都市構造から社会のあり方を見直すことで危機を乗り越え、50年後、100年後でも持続可能な都市を目指すプロジェクトである。舞台となるのは、約1,000ヘクタールに及ぶ臨海副都心とその南部に広がる中央防波堤エリア。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の関連施設も集まり、職・住・学・遊の機能がバランスよく並ぶほか、日本を代表する物流ターミナルを備えるなど、プロジェクト遂行にはうってつけの場所だ。
この環境を活かして目指すのは、デジタルテクノロジーによるゼロエミッションの構築だ。海と運河に面した水辺の立地を生かしながら公園や緑地を整備し、すべてのエネルギー需要を水素を中心とした再生可能エネルギーで賄う街へと発展させよう、というわけだ。
新しい価値を発信する世界のモデル都市へ
プロジェクト名に記される「eSG」には、ESG本来の概念(Environment=環境、Social=社会、Governance=ガバナンス)だけでなく、エコロジー=ecology、経済=economy、画期的技術=epoch-makingといった意味合いも含まれる。目指すべき都市像のイメージが、そこには凝縮されている。
実現に向けた最初の大きなターゲットは2030年。5Gによる通信インフラ網の整備をはじめ、風力発電や浮体式太陽光発電といったベイエリアならではの発電システムの設置、エネルギーマネジメントシステムの構築、ZEV(無公害車)を活用した域内交通など、最先端テクノロジーの社会実装を進めていく。新技術の開発に取り組むスタートアップ企業等を巻き込みながら、プロジェクトを段階的に推進していく。