アメリカでも若い世代はパレスチナ寄り、イスラエルは気をつけたほうがいい
Young Americans pose a problem for Israel
イスラエルの報復攻撃で瓦礫とした家の前に立つ子供たち(10月11日。ガザ地区) REUTERS/Ibraheem Abu Mustafa
<アメリカでは近年、パレスチナ人に対する支持が歴史的な水準に高まっており、イスラエルによるパレスチナ自治区の占領を「民族浄化」だと批判する声もある>
<動画>まるで大災害、イスラエル軍の報復攻撃を受けたガザの住民たち
米国人がイスラエル・パレスチナ間の紛争に対して抱く感情は、長年激しい暴力の応酬が続くなかで変化し続けているが、アメリカの若者はほかの年齢グループに比べて、よりパレスチナ寄りの傾向が強いことがわかった。
米世論調査機関「ピュー・リサーチセンター」の報告書によれば、全体として米国人はパレスチナよりもイスラエルに好意を抱いている。だが若者と年配者の間には、考え方に顕著な差がみられる。
同機関の調査では、アメリカの30歳未満の成人のうちパレスチナ人をある程度または非常に好ましく思っている人が61%だったのに対して、イスラエル人に対して好意を持っている人は56%にとどまった。
これに対して米国人全体では、イスラエル人に好意を持っている人の割合が3分の2で、パレスチナ人に好意を持っている人は52%のみ。65歳以上の高齢者のみに絞ると、イスラエル人に好意を持っている人が78%、パレスチナ人に好意を持っている人はわずか47%という結果が示された。
これらの結果をまとめると、アメリカの30歳未満の若者は年配者に比べ、イスラエル人に否定的な感情を抱き、パレスチナ人に対しては好意的な感情を抱く傾向が強いことが分かる。イスラエル政府とパレスチナ自治政府に対する見解を年齢グループ別に調べた調査でも同じ傾向が示され、このことはイスラエルが今後、アメリカの若者の支持を得るのに苦慮する可能性があることを意味している。
バイデンはハマスによる「悪の所業」を非難
AP通信によれば10月7日以降、イスラエルとパレスチナの双方で合わせて2200人が死亡した。この激しい暴力の応酬のきっかけは、7日にパレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム系過激派組織ハマスの戦闘員らがイスラエルに大規模な奇襲攻撃を仕掛け、少なくとも250人を殺害した上に大勢の人を拉致したことだった。
イスラエルは報復としてガザ地区に激しい空爆を行い、これによりガザ地区では数百人が死亡した。ジョー・バイデン米大統領は、ハマスによる奇襲攻撃で複数の米国人が拉致されたことを認め、ハマスの戦闘員らによる「悪の所業」を非難した。
ハマスによる今回の攻撃の数カ月前に実施されたこの調査では、イスラエルとパレスチナに対する米国人の意見は、年齢別でも支持政党別でも比較的割れていた。
とりわけ支持政党によって意見に大きな違いがみられ、共和党支持者と民主党支持者では(イスラエルとパレスチナの)紛争拡大に対する見解が異なった。共和党支持者の方がイスラエル人に対して肯定的な見方が強く、78%がイスラエル人をある程度または非常に好ましく思っていると回答。一方でパレスチナ人に好意を抱いていると回答した人はわずか37%だった。