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ブータン

首相が語る、「世界一幸せな国」ブータンが「カーボン・ネガティブ」で進む道

A BALANCING ACT

2023年6月16日(金)12時55分
ダニシュ・マンズール・バット(本誌アジア版編集ディレクター)

──外国に留学し高度な知識や技術を身に付けてもブータンに戻らない若者も多い。頭脳流出は問題か。

これは今に始まった現象ではない。一部の国々は何十年も前から人材の流出を嘆いてきた。グローバル化も流出に拍車をかけている。若者はよりよいチャンスがある国に行く。

もちろん、頭脳流出はわが国にとって問題だ。考え方を根本的に変えないと大変なことになる。

目下、国王が陣頭指揮を執って大規模な改革を進めている。改革は全ての公共部門に及ぶ。行政機関から金融機関、中央銀行、司法機関も。高等教育を受けた若いブータン人の期待に応えられるよう、あらゆる部門が変わりつつある。

若者が国内でチャンスを見いだせるようになれば、頭脳流出に歯止めがかかるだろう。なぜならブータンを嫌って出ていく若者は1人もいないから。彼らの期待に添うような活躍の場がないから、家族を残して国を後にするのだ。

──今後拡大させたい、もしくは外国の支援を求めたい重点部門は?

ブータンは再生可能エネルギーである水力発電に可能な限り、あらゆるレベルで投資を誘致している。さらに今は水力以上に太陽光と風力発電に注力しつつある。目標は再生可能なエネルギー源で(近隣諸国に輸出できる)余剰電力を生むことだ。

農業部門にも力を入れたい。その土台は先端技術だ。教育もそう。STEM(科学、技術、工学、数学)と呼ばれる理系教育に重点を置くつもりだ。人文科学も必要だが、人文科学ばかりに力を入れていたら、ブータンは未来を切り開けない。

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