ジャニーズ性加害問題とメディアの責任...テレビ界からはどう見える?デーブ・スペクターに聞く
The Exploded Open Secret
――社会の変化もある。80年代に元所属タレントが告発したときも、99年に文春の報道があったときも、日本も世界も、#MeToo時代の今ほどには性加害についての意識は高くなかった。
時代も変わってきた。ジャニーズが始まった60年代、「フォーリーブス」(編集部注:元ジャニーズ所属タレントで、80年代後半に喜多川からの性被害を自著で明かした北公次〔故人〕がメンバーだった)の頃は、セクハラとかパワハラとかいう概念はなかった。だって、そういう外来語も入ってきてなかったから。
でも、そこにはダブルスタンダードがあって、被害に遭っているのが女の子だったら、昔でもすぐ警察沙汰になっていたでしょう。小さい女の子が被害者だったら、事件ですよ。でも男の子だから、「織田信なんとか」にしても少年に対する性行為は昔からあったし、「いたずら」みたいなイメージがあったのだろう。
法律でも、今は男性も被害者になったけど、以前はそうはなっていなかった(編集部注:17年に刑法が改正され、それまで女性に限っていた強姦罪〔改正後の名称は強制性交等罪〕の被害対象者が性別を問わない形になった)。
アメリカやイギリスの例で言うと、カトリック教会でお手伝いをする男の子に手を出す問題が昔からあった。教会やボーイスカウトとか子供がいるところでなんで被害が起きるかと言うと、大人と子供が監視されていない密室にいるからですよ。子供への「アクセス」がある。アクセスがあると、被害が起きやすい。
文春の報道後にやるべきだったと思うのは、ジャニーさんってワンマンだし自営業だし、逆らう人いないじゃないですか。言う人はいなかったと思うんですよ。でもほんとだったら、ジャニー1人にさせないでって、本当は誰か言えばよかったね。
前向きに考えれば、ジャニー喜多川がやったようなことは許されない、という時代に入ったなあという。ピリオド打っていいと思うんですよ。みんなこれ、ほぼ事実として認定しているから。もうこういうことがないよう、再発防止が何より大事なのではないでしょうか。