「気分が灰色」はパニック障害だった──さらけ出したからこそ得た仲間と一緒に乗り越えて
When Depression Comes, Open Up
グレイザーはアスリートたちに心の痛みをさらけ出せと伝えている CINDY ORD/GETTY IMAGES FOR SIRIUSXM
<子供の頃から目が覚めると「灰色の世界」に襲われた...。つらい気持ちを臆せずに周囲に打ち明けたからこそ言える、「心の痛みはさらけ出せ」という言葉>
子供の頃から目が覚めると、いつだって気分は灰色だった。当時は言葉で表現できなかったが、子供時代の最初の記憶は不安と鬱だ。
灰色とは、自分が宇宙から嫌われているという感覚のこと。私が不幸になるのを世界が望んでいて、自分は愛される価値がないと思えてしまう。
灰色の気分に加えて不安に襲われると、空が落ちてくるように感じる。心臓の鼓動が激しくなり、手が震え、目がぐるぐる回り始める。そしてパニック発作が起こる。
私は1999年にスポーツ記者の仕事を始めたが、正社員になるまで10年以上かかった。
ニューヨークで年収1万ドル以下の暮らしを11年続けた。しかし不安と鬱が「私には価値がない」と教えてくれたからこそ、もっと頑張って自分を証明しようと決意できた。たいていの記者は9時から夕方5時の勤務だが、私は朝7時から夜10時半まで働いた。
初めてテレビに出たのは2005年。場所はネバダ州にあるアメリカンフットボールのスタジアムだ。試合がなく観客席も空っぽの日で、私とカメラマンしかいなかった。
そのとき突然、壁が崩れ始めた──。以来、パニック発作は日常化した。カメラの前に立つと、必ず襲ってきた。
その頃は今のようにメンタルヘルスが一般的な関心事ではなく、私は心臓発作を起こしているのだと思った。何人もの医師に心臓を診てもらったが、はっきりしたことは分からなかった。
こうして12年が過ぎた頃、ある医師が私の病気をパニック障害だと診断してくれた。
自分の症状を表す言葉を手に入れたが、私は苦しみを隠していた。いつも笑って冗談を言う「グレイズ」というキャラクターをつくり上げ、それを演じるようになった。私がどれほどの痛みを感じているか、誰も知らなかった。
心の痛みをさらけ出せ
心の問題を周囲に明かす決意をしたのは、数年前のことだ。スーパーボウルで一緒に仕事をする友人たちに連絡を取り、彼らの前で言った。
「僕はひどい状態だ。自分が怖い。自殺はしないと思うが、毎日が最悪だ」