裁判所まである!中国の非合法「海外警察署」の実態を暴く
XI’S POLICE STATE–IN THE U.S.
一方、中国外務省の趙立堅(チャオ・リーチエン)報道官は「在外警察署」の存在を明確に否定している。
昨年11月2日に北京で行われた記者会見でも、同郷会などの組織は「運転免許証の更新のためにオンライン・サービスへのアクセスが必要な人たちへの支援」などを提供していると述べた。
本誌はまた、サンフランシスコとロサンゼルス、ソルトレークシティー、ヒューストン、セントルイスの各都市、そしてミネソタ、ネブラスカ、ノースカロライナ、サウスカロライナの各州に中国人支援センター(華助中心)が置かれていることも突き止めた。
これらは中国政府の国務院僑務弁公室が2014年に設置した世界的ネットワークの一部で、やはり統一戦線工作部の傘下にある。
中国共産党の機関紙「人民日報」によると、こうした拠点は翻訳や法律相談、福祉などのサービスを提供しており、「アフリカや南米」のように「法と秩序が整っていない」場所では、警察や消防の役割を果たすこともあるという。
だが前述の反体制活動家の魏によれば、中国の警察がアメリカ国内の反体制派を監視する「拠点」は1993年頃から存在している。
その1つがニューヨークにあることを、魏は中国の公安警察の一員から聞いた。「彼の上司は頻繁にニューヨークへ飛び、情報を集め、新たな任務を命令していた」そうだ。
「一帯一路」で警察も進出
外国にいても中国政府の警察活動には協力すると、明言する中国系住民もいる。
例えばニューヨークに拠点を置く全米福建華人連合会の李華(リー・ホア)会長だ。この人物は昨年1月に、自分たちは中国警察に協力していると述べている。
李は福建省福州を訪れた際に、現地の公安関係者たちを集めた席で「警察と華僑事業」について語り、「警察と華僑の業務を拡大するためには国外にある華僑団体の力を利用すべき」だと強調した。
国外にある中国警察の代理組織は、全て中国の各省内にある警察本部とつながっており、「警察と華僑の家」とか「海外110」などと呼ばれている。
上海に近い江蘇省南通市李堡鎮にある団体は、アメリカにいる「留学生代表」を「海外連絡員」に任命したことを明らかにしている。こうした連絡員の任務は、中国本土の「警察網」と連携することだ。
中国の大手ポータルサイト「新浪」によると、この活動は昨年5月にスタートした。