9月16日に国軍が空爆した僧院学校 Myanmar Now News / YouTube
<国外への侵攻とクーデターの違いはあるが、独裁者のとる行動は同じだ>
9月16日にミャンマー国軍が北西部サガイン地方域にある僧院学校を空爆し、児童や生徒、教師ら13人が死亡した事件で、国軍側が生き残った生徒に軍の攻撃を正当化する声明を読み上げさせ動画撮影するという「偽のプロパガンダ」を行ったことが地元メディアによって明らかになった。
反軍政の立場から報道を続けている地元メディア「ミャンマー・ナウ」は10月28日、サガイン地方域タバイン郡区レティ・エット・コーン村にある仏教系僧院学校を軍のMi35ヘリコプター2機が空爆した攻撃で生き残った15歳の生徒2人が軍の攻撃は正当なものだったとする内容の声明を読みあげることを「強要」されたと報じた。
「ミャンマー・ナウ」は生徒が読むことを強いられた軍政の手になる「声明文」のコピーを入手し、それを記事に添付している。
軍の攻撃を正当化する声明
生徒が読み上げることを強要された軍政の声明は「村が(反軍政の民主派組織である)国民統一政府(NUG)の武装市民組織である国民防衛軍(PDF)のメンバーによって占拠されていたため、掃討作戦の目的で村に派遣された兵士が修道院と診療所を乗っ取っていたPDFメンバーと衝突、戦闘になった」と空爆には一切言及することなく攻撃を正当化する内容となっている。
そのうえで「軍は戦闘に巻き込まれて負傷した民間人に付き添って治療を施し、重傷を負った人々をヘリコプターで医療機関に空輸した」と主張し、負傷者には人道的な措置を講じたこと強調している。
NUGのネイ・オネ・ラット報道官は「ミャンマー・ナウ」に対して23日に解放された生徒2人は「解放前に紙に書かれた文章で空爆時に何が起きたかの虚偽の内容を読み上げるよう強いられ、軍はその様子を動画撮影した」と非難してこの声明が虚偽で軍のプロパガンダに過ぎないとの見解を示した。
メディア統制強化で進む虚偽報道
ミャンマーでは軍政がメディアを完全に統制しており、国民には国営テレビ、国営紙、国営ネットなど全てが軍によるコントロール下にあり、報道は厳しく検閲されている。
しかし軍のネット規制の網を潜り抜けた独立系メディアが複数存在して、反軍政の立場から各地における軍とPDFや少数民族武装勢力との戦闘の状況、さらに民間人への兵士による暴力、レイプ、殺害などの深刻な人権侵害を精力的に報道し続けている。