最新記事

中国

お手本は毛沢東──「ゼロコロナ批判」で、ますます意固地になる習近平

All Is Not Well for Xi

2022年6月13日(月)15時57分
アイク・フライマン(グリーンマントル社インド太平洋担当)、ホアン・イエンチョン(米外交問題評議会研究員)
習近平

習近平は毛沢東のやり方を再演? FLORENCE LOーREUTERS

<「自分への圧力が強ければ強いほど、私の決意は固くなる」。秋の共産党大会で異例の3期目を目指す習に李克強首相らが「異論」を唱え始めた。しかし、歴史が繰り返されるのであれば、経済回復した段階で切られる>

上海に、遅すぎる春が来たようだ。新型コロナウイルスの新規感染者を「ダイナミック」に完封するという「ゼロコロナ」政策の下、2カ月以上も続いたロックダウン(都市封鎖)が、6月初めにようやく解除された(ただし、まだ感染の疑いなどで「隔離」中の人が何万人もいる)。

だが、習近平(シー・チンピン)国家主席が喜ぶのはまだ早い。オミクロン株による感染拡大は各地で続いており、自慢の「ダイナミック・ゼロコロナ」政策にはほころびが目立つ。

いつロックダウンが来るか分からず、先が見えないから中国経済は落ち込んでいる。しかも中国共産党の第20回党大会を数カ月後に控えた今、李克強(リー・コーチアン)首相を含む有力者がゼロコロナ政策の有効性への疑問をほのめかし始めた。

この政策への異論を外国人ジャーナリストに語る財界人や公衆衛生の専門家もいる。中国語の外国メディアには、習が党総書記の続投(3期目)を諦めるのではないかという観測も流れている。詳細は不明だが、指導部内が割れている可能性もある。

中国の場合、特定の政策について意見の対立が表面化するのは、党内に権力争いがある証拠だ。共産党の指導部と長老は昔から、党大会の前には北戴河(河北省の避暑地)に集まって事前の調整を行ってきた。その日程はぎりぎりまで明かされないが、たいてい8月に開かれる。そして今回は、そこで「ゼロコロナ」政策の評価が問われる。

具体的には、ゼロコロナ政策が経済の停滞を招いたと李が主張して習を牽制し、後継首相に自分の腹心を据えようとする(あるいは自身の続投を求める)可能性が指摘されている。

党大会までに習が権威を回復し、あっさり3期目を手に入れる可能性はある。もちろん本人はそのつもりでいる。だが中国共産党の歴史に照らすと、そのためには事前に、自分の続投に異議を唱えそうな党幹部や知識人、財界人の口を封じる必要がある。

現時点で、堂々とそんな発言ができるのは旅行予約サイト最大手トリップ・ドットコムを率いる梁建章(リアン・コンチャン/ジェームズ・リャン)など、ほんのわずかな人だけだ。彼らを黙らせ、思想統制を強化すれば、みんな、おとなしくなる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GM、インディアナ州工場で生産拡大 トランプ大統

ビジネス

アングル:日本の不動産は「まだ安い」、脱ゼロインフ

ビジネス

米モルガンSが日本特化型不動産ファンド、1000億

ワールド

中国格付け、公的債務急増見込みで「A」に引き下げ=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 2
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 3
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のために持ち込んだ?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 6
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中