「すぐつなげ」「すぐつなげ」「すぐつなげ」苦情などというレベルではないコールセンターのモンスター客
そこで先輩オペレーターのアドバイスどおり「会社として取り組んでいることですので、割り引きした分はお返しいただかなくて結構です」と返答したという。
「でも立ち直ることができましたので、もう大丈夫です」
「ありがとうございます。そのお気持ちだけ受け取らせていただきます」
「本当にもう大丈夫です」
同じようなやりとりを二、三度繰り返したあと、お客は何度も礼を言い、電話を切った。
自分だけが優遇されるわけにはいかない。そんな思いで電話してきたのだろう。世の中にはこんな人もいる。正直すぎて苦労するかもしれないが、こんな人こそ充実した穏やかな人生を送ってほしいものだ。(39~40ページより)
この電話を受けたあと、少しだけ心が晴れる気がしたと著者は言う。
実際にはモンスターのほうが多いだろうから、確かに「少しだけ」なのかもしれない。が、そんな一握りの心あるユーザーが、オペレーターたちの気持ちを癒しているのは事実だろう。
だからこそ、私たちも「心」を持って彼らオペレーターたちと接することを忘れてはならない。
『コールセンターもしもし日記』
吉川 徹 著
フォレスト出版
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[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「WEBRONZA」「サライ.jp」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。ベストセラーとなった『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)をはじめ、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。新刊は、『書評の仕事』(ワニブックス)。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。