最新記事

北朝鮮

北朝鮮ミサイル実験は「五輪明け」に再開か...これほど「連射」が必要な理由とは

Kim to Confront the U.S. This Year

2022年2月11日(金)16時04分
李相洙(スウェーデン安全保障・開発政策研究所副所長)

このことからアメリカと韓国が留意すべきなのは、今は裏ルートも含めて北朝鮮との協議を再開するタイミングではなく、緊張緩和を探る時期でもないということだ。北朝鮮も交渉に戻る用意はない。

ただし、バイデン政権は「戦略的忍耐」を見直さなければならない。北朝鮮が交渉に復帰するのを待っている間に、彼らの核能力が手の付けられないレベルに達する危険がある。

韓国は、北朝鮮の核の脅威に対処するために軍事力を強化するだろう。特に保守系大統領候補の尹は、北への先制攻撃の権利を主張している。このままでは、朝鮮半島の軍拡競争は危険な最終局面に突入しかねない。

21年11月にオンライン形式で行われた米中首脳会談でバイデンと中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は、軍備管理をめぐる対話の可能性をハイレベルのチャンネル構築を含めて検討することで合意した。世界の核軍拡競争を抑制するための軍備管理協定の価値を、バイデンはこれまで以上に意識しているのだ。

バイデンと金は、朝鮮半島の軍備管理の枠組みを構築することにも関心があるかもしれない。これは将来の交渉に向けた魅力的な足掛かりであり、朝鮮半島の非核化プロセスの根本的な基盤になり得るだろう。

長期的には、アメリカはこのような枠組みから多くの利益を得られる可能性がある。多国間の核軍備管理措置は、地域のプレーヤーである北朝鮮、中国、韓国、日本の軍拡競争を緩和して、地域の能力やリソースの削減を通じて核兵器の拡散を抑制するために有用なツールになるかもしれない。

©2022 The Diplomat

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米バークシャー、24年は3年連続最高益 日本の商社

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、6月以来の高水準=ベー

ワールド

ローマ教皇の容体悪化、バチカン「危機的」と発表
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中