米関税、世界経済を急減速させる恐れ=ADBチーフエコノミスト

4月4日、 アジア開発銀行(ADB)のチーフエコノミスト、アルバート・パーク氏は、米トランプ政権が新たに導入した関税について、米国と世界経済の成長を鈍化させ、輸出市場を縮小させ、米連邦準備理事会(FRB)に利下げを促す可能性があると分析した。マニラの同銀前で2009年6月撮影(2025年 ロイター/Cheryl Ravelo)
Karen Lema
[マニラ 4日 ロイター] - アジア開発銀行(ADB)のチーフエコノミスト、アルバート・パーク氏は、米トランプ政権が新たに導入した関税について、米国と世界経済の成長を鈍化させ、輸出市場を縮小させ、米連邦準備理事会(FRB)に利下げを促す可能性があると分析した。
かつての米中貿易摩擦では製造拠点が中国から東南アジアに移転したが、今回の関税は広範囲に及ぶため、地域全体の貿易を鈍化させるとの見解を示した。
「米国の新たな関税の規模と範囲は、米国と世界の成長を著しく鈍化させる可能性がある。東アジア内での生産移転にとどまらず、東アジア全体の輸出機会を縮小させるだろう」と述べた。
関税の影響で米国の経済成長が鈍化し、FRBが金利引き下げる可能性があるとの見方を示した。
また、関税の引き上げは「中国の成長見通しにマイナスの影響を及ぼす」と述べた。
中国は新型コロナ危機後の経済回復を輸出に依存してきたと指摘。今後は国内の消費に重点を置く最近の政策転換をさらに強化するとともに、米国以外との貿易を拡大する公算が大きいと予想した。
パーク氏は、東南アジア諸国はそれぞれ高い関税障壁があり、それが貿易の転換を吸収する能力を制限し、成長の機会を減らしていると述べた。
さらに、関税が地政学的、経済的不確実性をさらに高めていると述べ、外国人投資家は通常リスクの高い市場から撤退するため、東南アジアからの資本流出は「十分あり得る」と警告した。