慌てて大使館員を退き始めたバイデン政権をウクライナ外務省が批判
Ukraine Condemns U.S. Decision to Begin Evacuating People From Country
1月22日には、「前線の防衛部隊」向けの武器弾薬を含む、アメリカからの「軍事援助」90トンがウクライナに到着した。
ただし西側諸国が、この地域で起きる可能性がある紛争への対応に関して一致団結しているわけではない。アメリカのジョー・バイデン大統領は1月19日、ロシアがウクライナに「小規模な侵攻」を起こした場合、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する諸国が「対応をめぐって争いになる可能性がある」と述べ、これが失言と受け止められた。
この発言は、ヨーロッパ全土を覆う緊張感を鎮めるのにはほとんど何の役にも立たず、かえってロシアに隣国への侵攻を促すようなものだとして批判を浴びた。さらには、ヴォロディーミル・ゼレンスキー大統領を含めて、ウクライナからの反発を招いた。
アメリカ政府は、バイデンの失言によるマイナスの影響を最小限に押さえようと躍起になっている。政府関係者は、バイデン大統領が述べた「小規模な侵攻」とは、サイバー攻撃や民兵組織の活動であり、ロシア軍がウクライナ国境を越えてくる事態を想定していたわけではないと釈明した。米国務省のアントニー・ブリンケン長官も23日、ロシアに対してウクライナ侵攻を思いとどまるよう警告した。
ニューヨーク・タイムズは23日、バイデンが東ヨーロッパに1000人から5000人の部隊を追加派遣することを検討していると報じた。ロシアがさらに強い行動に出た場合には、派遣する兵士の数をさらに増員する可能性もあるという。バイデンが増派に踏み切れば、これまで抑制的だった対ウクライナ政策における大きな転換点となる。
一方でこの週末には、NATO加盟国の中での足並みの乱れが顕在化した。イギリスおよびアメリカが、ロシアの脅威にさらされるウクライナ軍を支援するという姿勢を改めて示したにもかかわらず、ドイツは、ウクライナ政府への武器供給の要請を拒否したのだ。
(翻訳:ガリレオ)
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら