最新記事

クーデター

ミャンマー裁判所、スー・チーに禁固4年判決 軍政、刑期積み重ね政治生命を断つ狙いか

2022年1月11日(火)16時32分
大塚智彦
アウン・サン・スー・チー

2017年9月にネピドーで撮影(2022年 ロイター/Soe Zeya Tun)

<軍事クーデターで囚われの身になったスー・チーが再びミャンマーの政治に携わる日は来るのか?>

ミャンマーの首都ネピドーの裁判所は1月10日、民主政権の指導者で2021年2月1日の軍によるクーデターで逮捕され、複数の容疑で訴追、公判中だったアウン・サン・スー・チー氏に対し、輸出入法違反などで禁固4年の実刑判決を下した。12月の判決に続く2回目の言い渡しとなった。

軍政に批判的な立場をとるミャンマーの独立系メディアなどによると、裁判所はスー・チー氏が問われていた違法な無線機(トランシーバー)を海外から輸入したことが輸出入法違反に当たると判断。さらにスー・チー氏が国家最高顧問兼外相だったクーデター前の民主政権時代に新型コロナ対策で十分な感染拡大策を講じなかったことが公衆衛生法違反に該当するとして合計禁固4年の判決を言い渡したという。

スー・チー氏の弁護士などによると、スー・チー氏は全ての容疑で「無罪」を主張しており、「軍政によるいわれなき容疑」であるとして裁判の中立・公正性に疑問を示していたという。

複数の容疑での公判継続中

スー・チー氏に対しては2021年12月6日、社会不安を煽ったとする扇動罪などで禁固4年の実刑判決が言い渡され、その後軍政の恩赦により禁固2年に減刑されている。

扇動罪はクーデター後にスー・チー氏率いる政党「国民民主連盟(NLD)」が国民に呼びかけた反軍政の声明が社会不安を煽ったとされ、さらに2020年11月に行われた総選挙の期間中に十分なコロナ感染拡大防止策を講じなかったことが問われた。

判決は少なくとも11件の容疑で訴追され、公判中のスー・チー氏の複数裁判への最初のものとなった。

この時はスー・チー氏と同じくクーデター直後に逮捕され、訴追を受けていた民主政権のウィン・ミン大統領も扇動罪や新型コロナ対策規定違反で禁固4年の実刑判決を言い渡されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不

ワールド

アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解

ワールド

アングル:南米の環境保護、アマゾンに集中 砂漠や草

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中