最先端!がんセンター東病院トップが明かす「若者」「バカ者」「よそ者」な医師たち
──なるほど、この病院は裏側で、こういうことを目指してやってきたから、独特な雰囲気があると理解できました。ただ、一般的には知られていないですね。別に宣伝しなくていい、ということですか。
そんなことはないんですけど、どうしても地味になっています。
──すでに、全国から患者さんがどんどん集まってきますからね。
もっと増やそうと思ってますよ。2022年には、ホテルとラボ(研究所)がオープンします。両方とも三井(不動産グループ)がつくっているので、我々はそこを使う側ですが。企業も誘致を進めていて、全国から新薬や細胞療法などの開発・研究者がどんどん、ここに集まってきてくれることを期待しています。
──シリコンバレーの医療版のようですね。
そうです。医療機器開発のグループも大腸外科科長の伊藤(雅昭)くんを中心に頑張っていて、「ここを日本のシリコンバレーにする」という発想でみんな取り組んでいるんです。
医療機器開発グループもAI(人工知能)やITのエンジニアなどの研究者がたくさん集まってきて、病院内医療機器開発センターで、企業やアカデミア施設の研究者と一緒に開発を進めています。最近ではここに外科医だけではなく、いろんな人材が集まっていて、幅広い診療科の医師や看護師、メディカルスタッフと混じり合って研究を進めています。異分野の人たちが、お茶を飲みながら意見交換している。だからおもしろいんです。
──病院内が交流の場になっているわけですね。また、隣に東大や千葉大のキャンパスがあって、研究者がいるのも大きいですか。
それは、大きいです。隣に産総研(産業技術総合研究所)のAI拠点と、情報研(国立情報学研究所)もあります。
2021年からは、東大系のベンチャーキャピタル、UTEC(東京大学エッジキャピタルパートナーズ)が、我々と共同でベンチャー育成プログラムを開始しました。それに追随しようとするベンチャーキャピタルも出てきました。まだ規模が小さいですが、ようやく世界のトップの大学に似た取り組みを始められました。
──藪だらけだった場所が、そういう街になりつつある。
日本の中ではユニークな街になると思います。次の世代の人が活躍する基盤をできるだけつくって、新しい医療をより早く患者さんに提供し、海外に負けない開発研究の拠点となることを夢みて進めています。
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