議事堂の次は就任式が危ない?トランプ支持者の襲撃に備えるワシントン
Experts Warn of Inauguration Threat to Soft Targets, 'Fully Expect Violence'
連邦議会議事堂を占拠したトランプ支持者(1月6日)Jack Gruber/USA TODAY via REUTERS
<米テロ専門家がバイデンの大統領就任式とその周辺の危険を予測>
アメリカ現代史上最も深刻な政治危機のなか、ジョー・バイデン次期大統領の就任式が1月20日に行われようとしている。ドナルド・トランプ大統領の忠実な支持者たちが、権力の移行を妨害しようと式典を狙ってくるのではないか、という警戒感が強まっている。だが専門家らは本誌に対し、ターゲットは必ずしも就任式とは限らないと警告する。
「警備の手薄な施設や人の多い場所、重要なインフラは、国内のテロリストや政府を困らせたい人々にとって以前から魅力的なターゲットだ」と、国土安全保障省でインフラ防護担当次官補を務めていたブライアン・ハレルは本誌に語った。
大統領選におけるバイデン勝利認定を阻止しようとしたトランプ支持者が連邦議会議事堂を襲撃し、5人が死亡、数人が負傷したのは1月6日のことだった。暴力と騒乱が収まったのちに、議会ではなんとか投票集計を終えることができた。だが今、バイデンがアメリカ大統領に就任するための式典に関連して、さらなる騒動発生の危険もささやかれている。
就任式が近づくにつれて、国内テロ対策を専門とする機関に勤めていた当局者らは、注意が必要だと警告している。「平和的な権力の移行は祝うべきだが、懸念が高まっているこの時期には、警戒が欠かせない」と、ハレルは語った。
次回の準備はしているが
法執行機関は、暴徒の議事堂への乱入を許した今回の失敗から学んだはずだ、と指摘するハレルは、トランプの任命により、サイバーセキュリティ・インフラストラクチャー・セキュリティ庁(CISA)の新設ポストについていたが、2年後の昨年8月に辞任した。
「1月6日に起きた重大な警備上の失敗にかんがみて、法執行機関も次の過激派やトラブルメーカーの襲撃に対処する心構えはできているだろう」と、ハレルは言う。「就任イベントの周辺で暴力行為を最小限に抑えるために何重もの警備や、ターゲットの隔離、増派チームの配備が予定されている」
だがこれらの措置が実施されても、流血の惨事が予想される、と彼は言う。「街頭での暴動は十分にありうる。最大の懸念は、武器が使われること、安全を確保した防御線の外での集団暴力、重要なインフラ(変電所など)が攻撃対象になることだ。だが国土安全保障省(DHS)が指定した国家特別安全保障イベント(NSSE)として、式典中は公園管理事務所、シークレットサービス、国土安全保障省、および連邦議事堂警察が、安全を確実にするためにかなり大きな存在感を示すことになる」
国土安全保障省は当初、1月19日から21日を国家特別安全保障イベント(NSSE)に指定し、シークレットサービスに安全対策を任せた。その後、ワシントン市長ミュリエル・バウザーからの公的な要請によって、期間の開始を1月13日に前倒しすることになった。