最新記事

コロナ変異種

世界40カ国がイギリスからの渡航を禁じるなか「開国」続けるアメリカの悪夢

70 London Flights Land in U.S. in 48 Hours As New COVID Strain Hits U.K.

2020年12月22日(火)14時30分
サマンサ・ロック

ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港には今も続々とイギリスからの渡航者が到着(12月21日撮影) Eduardo Munoz-REUTERS

<変異型ウイルスが乗っているかもしれないロンドンからの直行便が過去2日で70便到着。連邦政府は春の過ちを繰り返すのか、とニューヨーク州のクオモ知事>

従来の新型コロナウイルスより感染力が強い変異種がイギリスで猛威を奮っていることが確認され、ざっと40カ国が一時的にイギリスとの往来を禁止するなか、アメリカには、過去48時間で少なくとも70便がロンドンから到着、あるいは到着予定になっている。


カナダやヨーロッパの多くの国が、イギリスからの旅客機の乗り入れを禁止したにもかかわらず、アメリカでは現在のところ、禁止する兆候はない。

科学者たちによれば、イングランド南東部から感染が拡大したこの変異種は、従来のウイルスよりも最大70%、感染力が高いとみられる。この新しい変異ウイルス(VUI202012/01)は、既に感染拡大に悩まされていたイギリスで、急速に広まっている。

本誌が航空便追跡サイト「フライト・アウェア」から入手したデータによれば、アメリカでは過去2日間で、ロンドンの空港を出発した直行便、少なくとも70便が既に到着しているか、あるいは到着を予定している。

イギリスからの旅客便が最も多いのがニューヨークで、12月20日にはロンドン発の直行便、合わせて10便がジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)またはニューアーク国際空港(EWR)に到着。翌21日には、さらに10便のニューヨーク直行便がロンドンを発っている。

「同じ過ちを繰り返している」

次に多いのがシカゴで、20日にはロンドンのヒースロー空港(LHR)を出発した6便がオヘア国際空港(ORD)に到着。21日にはさらに4便が到着する予定だ。

ロサンゼルス国際空港(LAX)には20日に4便が到着し、21日に2便が到着を予定している。

これら3つの地域の空港がイギリスからの旅客便の過半数(36便)を受け入れているが、ほかにも米国内の複数の空港が受け入れを行っている。そのほかの34便はサンフランシスコ、ダラス、ワシントン、アトランタ、マイアミ、ボストン、フィラデルフィア、シアトルとヒューストン行きだ。

ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、イギリスで新型コロナウイルスの変異種が広まっているにもかかわらず、なぜ同州にはイギリスからの旅客便が到着し続けているのかと疑問を呈した。

現地テレビ局のWABCによれば、クオモは「ニューヨーク州にはイギリスから1日あたり約6便が到着しているが、何も対策が取られていない」と指摘。「これは非難されるべき事態だ。春にも同じことが起きた。新型コロナウイルスは中国発と言われたが、実際は感染の多くはヨーロッパから入ってきた。そしてその時も、何の対応も取られなかった」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-中国、欧州EV関税支持国への投

ビジネス

中国10月製造業PMI、6カ月ぶりに50上回る 刺

ビジネス

再送-中国BYD、第3四半期は増収増益 売上高はテ

ビジネス

商船三井、通期の純利益予想を上方修正 営業益は小幅
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 2
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符を打つ「本当の色」とは
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 5
    北朝鮮軍とロシア軍「悪夢のコラボ」の本当の目的は…
  • 6
    米供与戦車が「ロシア領内」で躍動...森に潜む敵に容…
  • 7
    娘は薬半錠で中毒死、パートナーは拳銃自殺──「フェ…
  • 8
    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…
  • 9
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」…
  • 10
    衆院選敗北、石破政権の「弱体化」が日本経済にとっ…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 3
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 4
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?…
  • 6
    渡り鳥の渡り、実は無駄...? 長年の定説覆す新研究
  • 7
    北朝鮮を頼って韓国を怒らせたプーチンの大誤算
  • 8
    「決して真似しないで」...マッターホルン山頂「細す…
  • 9
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 10
    【衝撃映像】イスラエル軍のミサイルが着弾する瞬間…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 8
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 9
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 10
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中