最新記事

カマラ・ハリス

カマラ・ハリス副大統領誕生で南インドの小さな村がお祭り騒ぎ

2020年11月11日(水)17時00分
松丸さとみ

米印関係はどうなる?

しかしインドの人たちが米国の大統領選に注視していたのは、ハリス氏が米国初のインド系副大統領になるからというわけではない、とNYTは指摘する。新大統領が誰かによって、インドと米国の関係性が大きく変わるからだ。

米印関係はここ数カ月、軍事面での親密さを増している。きっかけは、今年6月にインドと中国の国境で緊張が走ったことだ。両国の軍が衝突し、インド兵20人以上が死亡した。インドと中国の国境で発砲が起きたのは45年ぶりだという。

これ以降、米印両国は中国をけん制するために、合同軍事演習を重ねてきた(サウス・チャイナ・モーニング・ポスト)。

こうした関係が、バイデン大統領誕生でどう変わるのかがインドの国民にとって大きな関心ごとなのだ。バイデン氏はオバマ前大統領政権の副大統領時代、米印核合意に尽力したことで知られている。同氏はまた、移民政策をインドに好都合なように大きく変えるとも見られている。

インドの英字紙ザ・ヒンドゥーは、バイデン氏がインド50万人以上を含む1100万人の「滞在許可証を持たない移民」に米国市民権を与えるロードマップを整え、さらにはトランプ政権時代に大幅に縮小されたインドの技術者など高スキル保持者を対象としたビザの発給を増やす予定だとも報じている。こうしたことが実現されれば、インドの労働人口に大きな影響を与えるだろうと同紙は伝えている。

ただし、外交関係の専門家はNYTに対し、バイデン氏とハリス氏のペアはインドに厳しいだろうとの予測を述べている。インドのナレンドラ・モディ首相が取っている国内イスラム教徒への厳しい政策に対し、バイデン氏とハリス氏が批判的な対応をするだろうと見られているのだ。

タイム誌によると、両氏はこれまでもインドにおける人権侵害を批判する発言をしている。バイデン氏は選挙活動ウェブサイトで、カシミールでの人権回復を実現するためにインド政府は必要な手段をすべて講じる必要があると訴えている。モディ首相がカシミール問題をどう扱うかが、バイデン政権下での米印関係の鍵を握る可能性がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国防長官候補巡る警察報告書を公表、17年の性的暴

ビジネス

10月の全国消費者物価、電気補助金などで2カ月連続

ワールド

サハリン2はエネルギー安保上重要、供給確保支障ない

ワールド

シンガポールGDP、第3四半期は前年比5.4%増に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中