カマラ・ハリス副大統領誕生で南インドの小さな村がお祭り騒ぎ
米印関係はどうなる?
しかしインドの人たちが米国の大統領選に注視していたのは、ハリス氏が米国初のインド系副大統領になるからというわけではない、とNYTは指摘する。新大統領が誰かによって、インドと米国の関係性が大きく変わるからだ。
米印関係はここ数カ月、軍事面での親密さを増している。きっかけは、今年6月にインドと中国の国境で緊張が走ったことだ。両国の軍が衝突し、インド兵20人以上が死亡した。インドと中国の国境で発砲が起きたのは45年ぶりだという。
これ以降、米印両国は中国をけん制するために、合同軍事演習を重ねてきた(サウス・チャイナ・モーニング・ポスト)。
こうした関係が、バイデン大統領誕生でどう変わるのかがインドの国民にとって大きな関心ごとなのだ。バイデン氏はオバマ前大統領政権の副大統領時代、米印核合意に尽力したことで知られている。同氏はまた、移民政策をインドに好都合なように大きく変えるとも見られている。
インドの英字紙ザ・ヒンドゥーは、バイデン氏がインド50万人以上を含む1100万人の「滞在許可証を持たない移民」に米国市民権を与えるロードマップを整え、さらにはトランプ政権時代に大幅に縮小されたインドの技術者など高スキル保持者を対象としたビザの発給を増やす予定だとも報じている。こうしたことが実現されれば、インドの労働人口に大きな影響を与えるだろうと同紙は伝えている。
ただし、外交関係の専門家はNYTに対し、バイデン氏とハリス氏のペアはインドに厳しいだろうとの予測を述べている。インドのナレンドラ・モディ首相が取っている国内イスラム教徒への厳しい政策に対し、バイデン氏とハリス氏が批判的な対応をするだろうと見られているのだ。
米タイム誌によると、両氏はこれまでもインドにおける人権侵害を批判する発言をしている。バイデン氏は選挙活動ウェブサイトで、カシミールでの人権回復を実現するためにインド政府は必要な手段をすべて講じる必要があると訴えている。モディ首相がカシミール問題をどう扱うかが、バイデン政権下での米印関係の鍵を握る可能性がある。