欧米からの圧力を嫌い中国に接近するロシア
Russia Eyes East and West Border Threats, Looks to China for Closer Ties
合同演習は2015年以降、ロシアとベラルーシ、セルビアの3カ国で行われており、約1500の部隊が参加し、100の設備が配備される予定だった。だが今年は、セルビアが直前に演習への参加を取りやめると発表。ベラルーシとの合同演習に反対していた「EU(欧州連合)からの多大で不当な圧力」(ベラルーシ当局)を受けたことが理由だという。
マイク・ポンペオ米国務長官もベラルーシ問題についてコメントし、特にロシアを強く批判している。ポンペオはイギリスのラーブ外相と会談を行った後、「全ての国、特にロシアに対して、ベラルーシの主権を尊重するよう」促したと語った。
だが西の国境に懸念を募らせる一方で、ロシア当局者たちは、東の国境でも防衛強化の必要性を感じている。
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は17日に幹部会議の中で、「東部戦略地域は軍事的・政治的に緊迫した状況が続いている」と指摘。「東部軍管区では、新たに発生した脅威をなくすために幾つかの措置を取る考えだ。特に重要な区域では部隊の増強を行っている」
ロシア政府も状況を注視している。ロシア国営のタス通信によれば、同国のドミトリー・ペスコフ大統領報道官は17日に、「地域外の勢力による軍事行動の活発化は、地域の安定化にとって悪影響だ」と警戒感を示した。
中国と懸念を共有
ショイグもペスコフも、外国勢力の脅威について詳しい説明はしなかったが、ショイグは航空・防空部隊の増強を求めた。このわずか数日前、ロシア海軍太平洋艦隊のMiG-31戦闘機と東部軍管区のSU-35S戦闘機がベーリング海およびオホーツク海の上空で、米空軍のB-1B戦略爆撃機に対して緊急発進を行っていた。
このような出来事は珍しいことではない。だがこの一件に先立つ8月下旬には、アラスカ沖で米航空宇宙防衛司令部(NORAD)がアラスカ沖でロシア軍の海上哨戒艦2機の進路を牽制する事態が発生し、ポンペオが太平洋などでの「ロシアの活動が増えている」と警告していた。
ロシアはまた、アメリカがヨーロッパとアジアにミサイル防衛システムを配備していることに、かねてより懸念を表明してきた。アメリカが中距離核戦力(INF)全廃条約を離脱したことで、中距離ミサイルシステムについても懸念を募らせている。
こうしたなか中国も、東方での騒乱の気配を感じている。王毅は新華社通信に対して、「外部の一部勢力が、さまざまな理由をつけて地域内の国々の内政に干渉している。新たな『カラー革命』を煽る動きさえみられる」と語った。この『カラー革命』について、中国とロシアは「西側諸国の影響による一連の世界的な反乱」とみている。